明治末期の北海道を舞台に、アイヌ民族から奪われた金塊を巡るバトルアクションで大ヒット上映中の映画「ゴールデンカムイ」。作品の冒頭、北海道の地図がスクリーンいっぱいに映し出され物語の壮大さを演出しているが、映画のエンドロールにはなぜか「地図資料提供 福井県文書館」と流れる。「北海道の地図なのになぜ福井が!?」とSNSでも話題になっており、調べてみると福井のある“発信力”のすごさが分かった。
白羽の矢
ゴールデンカムイは、累計発行部数2700万部突破の大人気コミックの実写化。劇中に登場する地図は、映画公式ホームページに掲載されている予告動画でも確認できる。
全国に1点しかない貴重な地図が福井にあって、それが使われたのだろうか―。期待を膨らませて県文書館に聞くと「特別な地図ではないですよ」とあっけない答えが返ってきた。
地図は1895(明治28)年に北海道函館市の書店から発行され市販された「実測 北海道全図」。ではなぜ、同館所蔵の地図に白羽の矢が立ったのか…。
県文書館の田川雄一さんが「当館がインターネットで公開している資料を、(映画のスタッフが)見つけたと聞いています」と教えてくれた。制作会社に問い合わせると「ネットで見つけた地図の中から、監督のイメージに最も近かったのがこの地図だった。映画で使用するため、所蔵する福井県文書館に申請した」とのことだった。