4000人分が即完売…秩父でウイスキー祭、国境越え琥珀色の輝きに酔いしれ 「スコッチにも負けない」の声も

長蛇の列を作ったベンチャーウイスキー秩父蒸留所の試飲ブース=18日午前、埼玉県秩父市宮側町

 世界中のウイスキー愛好家から人気を博す「第11回秩父ウイスキー祭」(同実行委員会主催)が18日、秩父神社(埼玉県秩父市番場町)と秩父地場産センター(同市宮側町)で行われた。コロナ禍を経て4年ぶりの通常開催となった今年は、国内外のウイスキーメーカーやインポーター(輸入業者)約90業者が試飲ブースを設置。全国各地や海外から駆け付けた参加者は、風情あふれる観光地で琥珀(こはく)色の輝きに酔いしれた。

 昨年は2500人の入場制限を行ったが、今年は約4千人分が発券され、すぐに完売した。うち約400人が外国人観光客。ベンチャーウイスキー秩父蒸留所(同市みどりが丘)の「イチローズモルト」をはじめとする国内の人気銘柄や、英スコットランド、アイルランド、台湾など、世界各地のウイスキーが並び、会場は華やかな大人の香りに包まれた。

 スコットランドから来日したアレックス・サンダースさん(27)は「イチローズモルトなど日本のウイスキーもスコットランドに負けないくらい魅力的。秩父に初めて来たが、自分の故郷と環境が似ているので落ち着く」と上機嫌だった。

 秩父神社の神楽殿では、秩父屋台囃子(ばやし)の演奏や、秩父歌舞伎正和会による歌舞伎(演目・神霊矢口渡 二段目新田本城八郎物語之場)が上演され、多くの見物客が秩父の伝統芸能にも酔いしれた。

 同実行委員会は、県内外のバーテンダーやウイスキーを愛する有志で組織。出展者やイベント規模を年々拡大しながら、国内屈指のウイスキーイベントへ成長を重ねている。今年は新たに試飲会場を増やして計4カ所にしたほか、酒だるの廃材を活用したワークショップなども同時開催し、地域循環を生む会場づくりに力を入れた。

 横田武志実行委員長(44)は「今後も新しい取り組みを重ね、一年一年積み上げていく」と話していた。

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