焼き物の生地をドローンで窯元へ 長崎・波佐見で輸送実証実験 軽トラ代わりに

ドローンで輸送される焼き物の生地を見守る関係者=波佐見町、高山

 分業制で製造する波佐見焼の器の形をつくる「生地屋」から、色付けして焼き上げる「窯元」に製品を運ぶ手段を車両からドローンに置き換える実証実験が、長崎県東彼波佐見町で進められている。
 共同研究する長崎総合科学大(長崎市)の山路学講師(生産管理)は「波佐見のまち全体を大きな焼き物工場に例えれば、ドローンがベルトコンベヤー代わりになる日が来るかもしれない」と期待感を示した。
 分業制は高品質と大量生産の両立のため。町内では焼き物の生地を荷台に載せて軽トラックで運ぶ。輸送時の破損リスクがあるため、低速で走らなければならないなどの課題がある。
 実証実験は佐世保市のスタートアップ(新興企業)、ミライステラスや町などが1月から開始。16日に報道陣に公開された実験では、ドローンが小樽郷の生地屋「ニシトウ」から高低差約20メートルの山を越え、直線距離で約200メートル先の同郷の窯元「高山」に計800グラムの生地を1分半ほどで運んだ。
 実証実験は今後も継続の方針。ミライステラスの下高敏彰取締役は「ドローンの性能が向上し、搭載重量が増えれば実用化は可能。人手不足や二酸化炭素(CO2)削減の解決策にもなる」と話した。

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