安全輸送の教訓未来へ 阪神・淡路大震災の被害など資料展示、阪神電鉄が社内に啓発施設開設へ

阪神・淡路大震災で車両や線路が大きな被害を受けた阪神電鉄の石屋川車庫=1995年2月、神戸市東灘区御影塚町

 阪神電気鉄道(大阪市)の久須勇介社長は、来年1月に阪神・淡路大震災から30年となるのを前に、過去の事故や震災に関する資料を展示する安全啓発施設を本社内に開設する計画を明らかにした。今年3月にも本社の一室で始め、数年後に拡張を計画する。

 同社は38年間、同社社員や車両、鉄道施設などに起因する「責任事故」が皆無として近畿運輸局長から表彰を受けているが、資料展示を通じて安全輸送の根幹を社員に教育するのが狙い。

 久須氏は2020年から3年、都市交通事業本部長を務めた。関西鉄道大手の安全啓発施設を相次いで訪れ、その必要性を感じたという。

 阪神電鉄には、震災の発生直後に電車の車掌から一斉に届いた列車無線に運転指令が対応する音声の記録などが残る。震災の経験者が減り、教訓の継承が課題となっているという。

 同社の線路総延長は関西大手私鉄で最も短い。久須氏は「規模が小さいからといって持たなくていいわけではない。小さな事故がいくつか集まると大きな事故になるということを伝えたい」と話した。(大島光貴)

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