知事「復興が最優先」 発災時対応検証へ会議

会見する新田富山県知事=県議事堂

  ●情報発信強化や防災士技術向上

 富山県の新田八朗知事は19日、県議事堂で会見を開き、新年度当初予算案について「能登半島地震の復旧・復興を最優先に取り組んだ」と強調した。地震関連では当初、補正予算案を含めて計244億円を計上。新年度は新たに発災時の対応について検証するための会議を開催するほか、防災情報の発信強化、防災士の技術向上などを図り、安心安全な県づくりを加速化させる。

 能登半島地震で、富山県内では1万件を超える住宅被害が発生。農地や漁港など農林水産関係や公共インフラ、文化財でも多数の被害が判明している。

 新田知事は一方で、奥能登を含め甚大な被害があった石川県と比較すると被害の程度が少なかったと説明し、当初予算案は必要不可欠な歳出に限る骨格予算とはせず、通常の予算編成で取り組んだと説明した。

 震災対応について、当初予算分では44億円を充てた。災害対応検証事業では、発災時に県民が避難した経路や場所、手段などについて、スマートフォンのデータから分析する。

 新田知事は、県民が避難する際に大勢が車を利用し、渋滞が起こったことを振り返り「震災で逃げることに慣れていないことがはっきりした。反省材料を検証し、次の対策を打っていかないといけない」と力を込めた。

 新年度は視覚障害者に配慮し、災害情報を音声で伝えるスマホ用アプリを導入するほか、災害廃棄物対策を向上させるため、市町村職員ら向けのセミナーを開催する。木造住宅の耐震化促進のため、耐震診断や改修工事への支援を拡充する。県戦略企画課には復旧・復興担当を新設する。

  ●液状化盛り込まれず

 一方で、県内で被害の大きかった高岡、氷見市などで課題に上がる液状化対策について、当初予算の主要項目には盛り込まれなかった。新田知事は2016年の熊本地震でも液状化対策が完了していないとし「大変足の長い取り組みになる」と説明し、市町村と連携して対応する考えを示した。

  ●石川支援続ける

 新田知事は石川県への支援について、県内の被災者に対する生活再建や企業の再建、インフラ復旧に取り組むとした上で「これからもある程度の期間続けていく必要があるし、続けていくつもりだ」と述べた。

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