富山駅北に「くすり施設」 ワンダー・ラボ跡候補 富山市、城址公園から変更

基本計画で示された施設のイメージ

  ●構想から15年未着手 駅近くで利便性向上

 地元の薬業などをテーマとした富山市の「くすり関連施設」が、富山駅北の複合ビル「アーバンプレイス」(牛島町)に整備される方向となった。富山城址公園内に整備予定だったが変更し、北陸電力のエネルギー科学館「ワンダー・ラボ」が昨年2月に閉館した同ビル3、4階を賃借する方針。最初の構想から整備未着手のまま約15年が経過しており、計画を見直し、北陸新幹線利用者ら観光客の呼び込みを図る。

 15日の市議会経済環境委員会で市側が説明した。

 くすり関連施設は、富山売薬の300年以上の歴史、印刷やガラスといった産業との関わり、現在の市内の医薬品産業などを紹介する。民間のノウハウを活用する官民連携(PPP)を想定しており、新年度にも導入可能性を調査し、整備や運営の方法を検討する。開業時期は未定。

 2018年度に策定した基本構想・基本計画では公園内の旧市立図書館跡地に地上2階、地下1階建て、延べ床面積3500平方メートルの施設を整備するとし、整備費は23億8千万円と試算していた。ワンダー・ラボ跡のビル3、4階は計2100平方メートルで、既存施設を活用し規模を縮小することで初期費用を抑える。

 施設の基本理念や基本方針、機能は18年度の計画を踏襲する。計画では売薬に関する資料の展示、デジタル技術を活用した創薬体験、周辺の飲食店との連携などを打ち出していた。

 市は2008年度に有識者委員会を設け基本構想をまとめたが、事業はその後停滞。18年度に改めて委員会を設置し計画を策定した。しかし19年度以降の調査で、施設単体では集客やにぎわい創出が難しいとされ、新型コロナも重なり再び足踏みしていた。

 経済環境委で市側は候補地の変更について、富山駅に近く観光客の利便性が高まり、公共交通の待ち時間に立ち寄れると説明。周辺に大型観光バスの駐車場があり、修学旅行など団体利用も期待できるとした。北陸新幹線敦賀延伸で都市間競争の激化が予想され、首都圏や関西からの観光誘客が重要になると強調した。

 委員からは、地元の子どもが薬業に関心を持つよう、観光より教育を重視すべきとの意見が出た。一方で、薬業関連の施設は既にあり「無理に新しい施設を造る必要はない」との声も聞かれた。

基本計画で示された施設のイメージ

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