住民自治「自主財源の確保を」 地域再生を手がける 鹿児島の豊重さん講演 五島・福江文化会館

柳谷集落で地域再生を手がけた経験を語る豊重さん=五島市、福江文化会館

 鹿児島県鹿屋市の柳谷集落(通称やねだん)の公民館長で、地域再生を手がける豊重哲郎さん(82)が18日、五島市池田町の福江文化会館で講演。住民自治のための「自主財源の確保」が不可欠と指摘し、「1人ではなく100人で活動を」などと心がけを語った。
 1996年に公民館長に就任。人口約300人で高齢化率4割の中、行政の補助金に頼らない地域づくりを実践。地元出身の子育て世代の移住などで人口増加に結び付け、注目された。
 休耕地で栽培したサツマイモを原料にした焼酎の販売などで年間数百万円の独自財源を確保し、高齢者や子育て世代が暮らしやすい集落づくりの予算に充てたと紹介。現在はより収益力のある品目の栽培に乗り出しており、「地域の作物はたくさんある。皆さんも考えて」と呼びかけた。
 住民への心配りで信頼関係を築き、地域活動の無関心層を巻き込む大切さを指摘。高校生ら子どもに参加してもらい住民総出で活動した経験を振り返り、「リーダーは経営感覚と人間力で住民の才能を引き出してほしい」と述べた。
 講演は、まちづくり協議会の活動に関心を高めてもらおうと市が開いた「まちづくりフェス」の一環。市内各協議会のパネル展示、玉之浦神楽や「チャンココ」の舞台披露、特産品の抽選会もあった。

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