「とやま応援クーポン」開始 北陸応援割に先駆け 県独自、誘客効果に期待

宿泊客にクーポンについて説明するホテル従業員=富山市内のホテル

 能登半島地震で影響を受けた観光関連産業を支援する富山県独自の「とやま応援クーポン」事業が20日、始まった。対象となる県内のホテルや旅館では、従業員がチェックインした客にクーポンの使い方や利用できる店舗を説明する姿が見られた。一時キャンセルが相次いだ旅行客は回復傾向にあり、宿泊施設関係者は今後実施される国の「北陸応援割」も含め、誘客効果に期待を寄せた。

 国が3月中旬ごろの開始を予定している「北陸応援割」に先駆けた事業で、応援割が始まるまでは、宿泊施設を1人1万円以上利用すると飲食店や土産店などで使えるクーポン3千円分が配布される。応援割の開始後は、1人5千円以上で千円分が配られる。応援割は1泊2万円を上限に旅行代金が最大半額となる。

 富山市のオークスカナルパークホテル富山では、今月上旬に応援クーポン事業の実施が発表されてから、県内外からクーポンに関する問い合わせが多数入っているという。市田耕一宿泊支配人は「他県のお客様で不安に感じておられる方もいると思うが、富山が元気に頑張っていることを知ってほしい」と話した。

 富山市のANAクラウンプラザホテル富山によると、地震後の一時期は予約のキャンセルもあったが、1月下旬ごろから宿泊客数が戻ってきた。担当者は「クーポンがさらなる追い風になる」と期待を込めた。

 20日、出張で来県した神奈川県の40代男性は「お土産を買うのに使わせてもらう」、大阪府から観光で訪れた70代男性は「クーポンがもらえるのを知らなかった。うれしい」と喜んだ。

 クーポンの配布対象となる宿泊施設は19日現在で161施設。クーポンの利用には専用アプリ「とやマネー」が必要となる。配布は4月27日までで、予算がなくなり次第終了する。

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