交通弱者支援に「自動運転バス」検討 免許返納のカギは「車が無くても住み続けられる街づくり」福島・田村市

福島県警察本部によりますと、65歳以上が運転免許を自主返納した件数は、2018年は5800件あまりでした。

しかし、翌年の19年、急激に数が増えます。背景には東京・東池袋で当時87歳の男が運転する車が、2人を死亡させた事故がありました。この事故で、高齢ドライバーに対する社会的関心が高まったといえます。

ところが、その翌年の20年以降は減少し、年間6000件程度とほぼ横ばいとなっています。

福島県内は、面積が広い割には公共交通機関が充実しているとは言えない車社会です。免許を返納すると、移動手段がなくなってしまうことを心配する人も少なくありません。

交通弱者を支援する取り組みが各地で行われていて、田村市では「県内初」となる取り組みが始まっています。

「自動運転バス」実証試験

田村市で去年12月に行われた「自動運転バス」の実証試験。交通弱者の移動手段を確保し、車が無くても住み続けられる街づくりを進めようと市が企画しました。

自動運転バスは、事前に設定したルートを時速20キロ未満で走行する形で行われ、JR船引駅から中心部を周遊する3キロと5キロの2つのルートを運行。市は14日間かけ、実証試験を行いました。

実証試験の結果、利用した人の86%が「危険は感じなかった」と回答。さらに「バスにもう一度乗りたい」と回答した人は94%にのぼりました。

この結果について、市の担当者は「一定程度の理解を得られた」と話しています。一方で、利用した人からは「駅や公共施設、商業エリアなどに気軽に行けるようにしてほしい」、「本数をある程度確保してほしい」などの意見が聞かれたということです。

市は、走行ルートや時間帯などの課題があるとして、今年夏から秋ごろに再び実証試験を行い、その結果を踏まえ、今後本格導入に向けて検討するとしています。交通弱者への支援に向け、今後も活発な議論が必要となります。

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