「そのうち、あいつに殺される」被害男性、周囲に漏らす 青森・七戸町の知人殺害事件

 2020年12月、青森県七戸町で事故を装って知人男性を除雪機でひき殺したなどとして、殺人や殺人未遂など七つの罪に問われた本籍同町、無職の男の被告(37)の裁判員裁判の第2回公判が20日、青森地裁(藏本匡成裁判長)であり、殺人未遂罪の証拠調べと証人尋問を行った。検察側は事件の後、被害男性が「そのうち、あいつ(被告)に殺されるかもしれない」と周囲に漏らしていたことを明らかにした。

 起訴状によると20年9月23日、八戸市の八戸港で、取引関係にあった七戸町の土木会社臨時社員工藤勝則さん=当時(64)=を被告が運転する軽トラックの助手席に乗せて海へ転落させ、殺害しようとしたとされる。その3カ月後、同町貝ノ口にある被告の実家で、工藤さんの背中に家庭用除雪機(重さ約414キロ)を乗り上げさせ、死亡させたとされる。

 被告は当時、中古重機買い取り販売会社を経営。証拠調べによると、工藤さんが勤務していた会社は20年2月ごろ、被告に重機10台を売却したが、代金が支払われないなどのトラブルがあった。同5月には、被告が別の重機を持ち出して無断で売却。工藤さんが何度も返却するよう迫ったが、被告は「重機を運搬していたトラックが事故に遭った」「インフルエンザで入院している」などとうそをつき、返却を先延ばしにしていた。

 同9月、八戸港で被告が工藤さんを車に乗せたまま海へ転落。さらに約2週間後には、工藤さんの実家の小屋が火災に遭った。同12月には勤務先の会社でも火災が発生し、工藤さんが使用していた机付近が燃えた。火災現場では、複数人が被告の姿を目撃していた。

 検察側が読み上げた工藤さんの妻や長男、同僚らの供述調書によると、殺人未遂事件以降、工藤さんが「海に落ちたし、小屋も燃やされた。そのうちあいつ(被告)に殺されるかもしれない」などと怒った様子で周囲に話していた。

 次回公判の21日は殺人未遂罪の証人尋問を行う。

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