34年ぶり株価最高値に投資家「ようやくここまで来た」 景気回復の実感乏しく警戒する声も 鹿児島県内

日経平均株価の史上最高値更新を伝えるデジタルニュース画面=22日、鹿児島市金生町のよかど鹿児島

 日経平均株価の終値が3万9098円と34年ぶりに最高値を更新した22日、鹿児島県内の投資家や金融関係者からは株高を歓迎する声が聞かれた。ただ、実質賃金のマイナスで消費は腰折れし、景気回復の実感を持てない人も少なくない。株価下落への警戒ものぞく。

 株式運用を38年続けている鹿児島市の会社員(59)は「ようやくここまで来た」と満面の笑みで語る。「まだ上がるのでは。4万円台にも乗ってくれれば」と期待を膨らませた。少額投資非課税制度(NISA)を利用して投資している同市の大野まさみさん(59)も「増えている実感がある」と話す。

 鹿児島銀行金融資産コンサルティング部によると、最高値を受けて利益確定の売却が出たものの、NISA口座で買い直す動きもあった。担当者は「長期的に見て伸びていくという思いを持っている。投資に対するお客さまの感度は日に日に高まっている」とする。

 一方、実体経済では物価高で新型コロナウイルス禍からの消費回復が乏しく、景気は戻っていないという声もある。

 鹿児島市の喫茶「紙風船」では、平日のランチ客はコロナ禍前には及ばず、店内飲食より安価な弁当の需要が強い。同店の樋口あゆみさん(43)は「県外や海外客は増えたが、地元利用が少なくなった。昼食にお金をかけにくいようで、地元の景気がよい実感は少ない」と話す。

 年初から2カ月足らずで5000円以上も上昇する展開に一部の個人投資家は先行きを不安視。約10年株を運用する男性(53)は「値上がりはどこかで止まる。それがいつか」と警戒する。

 九州経済研究所(KER、鹿児島市)の福留一郎経済調査部長は「景気が上向いての株高ではなく、アメリカの景況や中国の不動産不況など外的要因がほとんど」と冷静に受け止めつつ、「新NISAにより個人の金融資産で株や債券が占める割合が増えれば、株価上昇が個人消費にポジティブな影響をもたらす」と見通す。

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