「まれ」ソング聞こえた 仮復旧の里山海道「おとのみち」

横田-越の原IC間の通行止めが解除し、「まれ」のメロディーを聞けるようになったのと里山海道=別所岳SA近く

  ●「まんで元気もらえるげんて」

  ●迂回路で途切れ、40キロ制限で遅いテンポ…でも

 能登半島地震で大規模崩落が相次いだ自動車専用道「のと里山海道」。通行止めが続いていた奥能登に向かう下り線は、仮復旧で越の原インターチェンジ(IC)まで通れるようになった。気になっていたのが、走行すると路面からNHK連続テレビ小説「まれ」のテーマ曲が聞こえてくる「おとのみち」。22日、久しぶりに車を走らせると、かすかだが、確かにあのメロディーが流れてきた。(穴水支局長・中川弘孝)

  ●時速70キロなら1分

 おとのみちは、タイヤが路面の溝を踏むことでドラマ主題歌「希空~まれぞら~」が鳴る仕組み。下り線の別所岳サービスエリア(SA)―越の原IC間の約1.2キロを時速70キロで走行すれば、ドラマのオープニングの時間とほぼ同じ約1分、旋律が聞こえてくる。能登の誘客につなげようと、石川県が2015年6月、全国最長の音響道路として整備した。

 21年6月から穴水支局勤務となり、休暇になると金沢の自宅に戻る生活を続けてきた。里山海道を何度も利用した身にとって、あのメロディーは穴水で仕事をしようとスイッチを入れる「発進音」になっていた。

 22日、土砂崩れで宙に浮いたガードレールを何度も横目にしながら走行すると、穴水町曽福付近でおとのみちの看板が見えてきた。しっかり聴こうと、ラジオを消して準備に入る。

 積雪があって聞き取りにくく、区間の一部が迂回路となって途切れる部分はあったものの、メロディーは確かに聞こえた。今は速度が40キロに制限されているため、かなりテンポが遅いのも仕方ない。

  ●復興のメロディー

 横田―越の原IC間の通行止めが解除されたのは2月15日。復旧工事を担当した金沢河川国道事務所は、公式X(旧ツイッター)でおとのみちを紹介して「復興のメロディーを奏でます」と投稿。すると「希空聴くと、まんで元気もらえるげんて」「将来必ず直してほしい」などの返信がいくつも寄せられた。

 県道路建設課の担当者は、おとのみちを復旧するかどうかについて「現時点で未定」と慎重な物言いだったが、自分と同じように、心待ちにする人はたくさんいるだろうから、何とか完全復活させてほしい。

 2007年の能登半島地震の際、のと里山海道は全面復旧に8カ月を要したそうだが、今回はどれくらい掛かるだろうか。あの元気をくれる曲が再び聞こえる日こそ、能登が復興を果たす日になるはずだと、希望を持ち続けていたい。

© 株式会社北國新聞社