「友達」だけど…関係を見直すタイミングとストレスフリーな距離の保ち方

同性でも異性でも、友達と呼べる関係だけど、一緒にいると疲れたり無理をしたり、どこか窮屈さを覚えるときは関係を見直すタイミング。

相手のことが「嫌い」とはっきり思わなくても、心がネガティブな状態になるのはいいお付き合いができているとは言えません。

でも、大きな衝突や喧嘩がなければいきなり疎遠にするのは難しい場合が多いですよね。

角を立てずに離れる、ストレスにならない距離の取り方はどうすればいいのでしょうか。

人間関係はそもそも変わっていくもの

たとえば、少し前までは突然の誘いも何時間の電話も苦ではなかったのに、だんだんと合わせることが大変になり、いつしか着信が来ても出るのをやめてしまう。

近い距離感を共有すれば、それが変化すると自分が悪いのかと悩む人がいますが、人間関係はそもそも流動的なものです。

自分も相手も身を置く現実は別々で、時間の流れや経験も違ってきます。

そのときはべったりとした付き合いが嫌ではなくても、自分の環境や状況が変われば人への接し方もまた変化するのは当然の流れで、どうしても「そのときの自分」でしか向き合えないですよね。

「ずっと同じ付き合い方」は理想ではあるけれど、自分はそれが可能でも相手の状況でそれが難しいときもあって、変わることに悩むよりは今の状態を受け入れるほうが自然です。

当時は楽しいと感じた相手の振る舞いも、自分が成長すれば受け止めるのが難しくなるのは、仕方のないこと。

無理をしてストレスを抱えながら付き合うことのほうがお互いのためにはならず、窮屈さや抑圧など自分が我慢する場面が増えたなと思ったら、関係を見直すタイミングです。

関係は変わるもので、「今の自分」でリラックスした付き合い方を模索するのが正解。

「ちょっと距離を置きたいな」と思うとき、どんな点に気をつければいいのでしょうか。

相手を「悪い」としない考え方

些細なことでも何かあったらすぐに電話をかけてくる友達がいて、嫌ではなかったけれど慰めや励ましを言い続けることに疲れてしまい、話す頻度を減らしたいなと思うとき。

こちらからより相手からの言動で「付き合わされる」場面が多い友達は、自分が下になったような気がしてモヤモヤが残りますよね。

「ストレスのはけ口に利用されている」と感じると相手に対して嫌な感情が湧きますが、それを前に出すと相手もこちらに反発を覚え、嫌悪感のある空気を避けられません。

相手にとっては、これまでと態度を変えたこちらに不信感が生まれ、その理由がわからなければ「向こうが悪い」と思います。

お互いに相手を「悪い」とするとネガティブな感情が溝になり、気まずい思いを抱えたまま距離ができるため、その後の関係も悪化する一方です。

相手の状態を責めるのではなく「今の自分では付き合えないだけ」と思えば、悪意や罪悪感を覚えることなく距離が取れます。

何でも相手に合わせる自分を見せるのが友情ではありません。

自分の生活や事情を優先するのは誰もが等しく選ぶことであり、好意のある友達なら、こちらの変化を受け入れる器があるはずです。

それまでのつながり方を変えるときは、どちらかを悪者にするのではなく「今の自分」を基準にした考え方で動くと、角を立てずに距離を取った接し方を思いつきます。

ストレスのない距離感を作るためにまずやることは…

今まではいきなり電話がかけてくるのならまずは出るのをやめてみたり、LINEで「今から話したいのだけど」とメッセージが来たらすぐに既読をつけずに時間を置いてみたり、距離を作るときは「今すぐの対応をしない」のが最初です。

着信を無視するのも未読スルーも気が重くはなりますが、応えるかどうかは自分で決めていいことを忘れてはいけません。

相手も自分の都合で動いているのであれば、こちらもまた対応を自分の意思で決められます。

少し経ってから「いま外出していて」「運転中で」など応えられない状態をLINEのメッセージで伝えれば、相手も何の用事かを返せます。

最初のうちは今すぐのやり取りを避けるのは、「これからもこんな対応をするからね」のサインです。

そのときの都合によって応えるよ、と伝えることで、相手も接し方を変えざるを得ません。

タイミングを気にせず気軽に話せる相手として電話をかけていたけれど、「今からは違う」と知ってもらうことが肝心。

ストレスのない距離感を作るときは、最初に「今すぐ」のやり取りを避けることで、お互いの事情を実感するのが大切です。

ふたりの仲に「罪悪感」を持ち込まない

そうやって少しずつ連絡の頻度が減ってくると、相手を拒絶している自分を感じて「申し訳ないことをしたな」「これでいいのだろうか」と罪の意識が生まれるときがあります。

深い仲だと思っていたからこそ、距離が生まれたら今度はその状態に覚束なさを感じるのですね。

罪悪感を覚えるのは、ふたりの状態を相手に委ねていた証拠ともいえます。

相手に依存していたから変化する自分の受け止められ方に不安を感じるのであって、申し訳なさは「こちらが悪い」と思われるのが怖いともいえます。

それでも、今までのつながり方が負担になったから対応を変えたのであり、その自分まで否定してはいけません。

窮屈さや抑圧を感じるような付き合い方が正しい友情とはいえず、今の自分は対等を目指している、と受け止めるのが正解。

先に書いた通り、人間関係は流動的で、そのときのお互いの環境や状況によって付き合い方の幅は広がると考えましょう。

応え方を変えたことで罪悪感を持ち、それを今のふたりの間に持ち込めば、ぎくしゃくとしたやり取りが増えて心を開いたコミュニケーションは難しくなります。

友情に罪悪感は必要ありません。

本当にお互いを尊重する気持ちがあれば、相手の変化を受け入れて「今の自分たち」で居心地よく過ごせる付き合い方が生まれるはず。

縁を切らずにいたい相手なら、悪意や罪悪感ではなく「改善」の意識で仲を続けていきたいですね。

関係が終わる人はそれで置いておく

なかには、距離を取るこちらを見て「冷たくなった」「前のほうがよかった」など非難する人もいます。

自分への対応に不満を持つのは、関係を対等と思っていないからです。

自分と等しく相手にも事情があり、過ごしている現実は違うのだと理解していれば、変わった相手を見て責めるのではなく「何かあったのかな」と想像します。

相手の変化がこちらの拒絶のように感じられるとき、それまでの自分の言動を振り返って「付き合えなくなったのだな」と思える人は、非難するのではなく同じように距離を取ることを受け入れます。

関係性は変わっていくものなら、こちらと等しく「今の自分」で関わっていくことを考えるのですね。

そうではなく、人の変化を悪いとして関係が終わるような人は、そのまま離れるのが正解。

理解を放棄して自分への対応の良し悪しばかりこだわる人とは、お互いを尊重する関係を築けません。

無理に説明したり追いかけたりするより、関係が終わることは「今の自分に合わない仲だったのだ」と割り切るのも、不要なストレスを避けるコツです。

心が成長すれば人への接し方や関わり方が変わってきて当然ですが、それまでの状態を「変えられない」人にもまた、事情があります。

「合わなかった」で置くことは、罪悪感を背負わず今の自分の身の丈に合った人間関係を手にする考え方です。

関係が終わる人より仲を続けられる人の存在を、大切にしたいですね。

性別に関係なく、「友達」と思っている人との付き合い方は、そのときの自分で変わってくるのが当然です。

今までのふたりの状態を引きずって無理をするのは健全とはいえず、ストレスが大きいときは思い切って自分の側から変化を見せるのも、新しい関わり方を探すきっかけです。

対等な関係には常に居心地のいい空気が通ることを忘れず、自分の変化に胸を張れることを心がけたいですね。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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