口で描き続け、夢の絵画展が実現 脳性まひ障害のある芳賀・直井さん 30人超の有志が支援

鉛筆を口にくわえ描く直井さん

 脳性まひの障害がある栃木県芳賀町祖母井(うばがい)、直井信也(なおいのぶや)さん(70)の初の絵画展「のぶやさんと仲間たち展」が23日、祖母井南1丁目の農業者トレーニングセンターで始まった。長年直井さんが胸に抱えていた作品展への思いをボランティアの仲間たちが支え、実現に至った。29日まで。

 会場には開催に尽力してきた町社会福祉協議会やボランティアセンターはが、直井さんが通う障害者福祉施設けやき作業所の関係者や、親しい有志が集まり、初日を祝った。

 夕焼けの富士山や秋の丘の風景、建物の窓などを色彩豊かに描いた直井さんの水彩画17点と、作業所の仲間の作品28点が並ぶ。

 直井さんは両手両足が思うように動かせず、言葉も自由に話せない。「絵を描いてきて、皆さんに見てほしいとずっと思っていた。多くの人の協力で開催でき、どうもありがとう」と有志のサポートを受け謝意を伝え、口に鉛筆をくわえて下絵を描く実演もした。

 50歳のころに絵を描き始め、10年ほど前、けやき作業所に日本清興美術協会副理事長のさくら市、手塚博也(てつかはくや)さんが教えにきたことをきっかけに本格的に学びを深めた。2017年、東京都美術館で開かれた清興展で一般の部小品奨励賞に輝くなど努力を続けてきた。

 近しい人には、いつか絵画展を開きたいという思いを話していた。町社協が県社協のモデル事業に選ばれたこともあり、昨年5月から関係団体や有志ら30人以上の仲間が集まって、直井さんの希望を実現するプロジェクトを立ち上げ、開催に準備してきた。

 ボランティアセンターはがの七井章治(なないしょうじ)さん(74)は「センターとしてもイベントの企画は初めてで、仲間みんなの思いが形になって感激です」と喜ぶ。

 午前10時~午後4時。(問)町社協028.677.4711。

直井さんらの作品が並ぶ絵画展

© 株式会社下野新聞社