衛星画像でコメ収穫適期マップ化 農林総研(青森県)「まっしナビ」「はれナビ」開発

はれわたりの収穫適期が水田ごとに色分けされた「はれナビ」のイメージ画面(農林総研提供)

 青森産技センター農林総合研究所(黒石市)は、人工衛星画像を活用して県産米の「まっしぐら」と「はれわたり」の収穫適期(稲刈りを始める日の目安)を水田ごとにマップ化する収穫支援システム「まっしナビ」「はれナビ」を開発した。既に運用されているブランド米「青天の霹靂(へきれき)」の生産指導システム「青天ナビ」の技術を応用したもので、2023年産米の生産から津軽地域のマップを公開し、収穫指導に活用されている。24年9月上旬ごろには県南地域のマップも試験公開する予定だ。

 まっしナビ、はれナビは人工衛星が撮影した画像から田んぼの色や稲の成熟度合いを解析。出穂後の積算気温と合わせて収穫適期を推定し、水田を1枚ずつ色分けして地図に落とし込んだ。同センター工業総合研究所と連携し、農家や指導員がパソコンやスマートフォンから閲覧できるアプリを開発。画面上で水田を選択できるほか、住所検索や位置情報からも収穫適期を知りたい水田を選ぶことができる。

 19年に本格運用が始まった青天ナビは人工衛星画像から収穫適期や収量、タンパク質含有率、土壌の肥沃(ひよく)度を可視化。厳しい出荷基準がある青天の霹靂の食味向上や収量確保に役立てられている。

 利用者から他品種での実用化を望む声が多く、県産米の主力を品質の良い状態で刈り取ってもらおうと、まっしぐらは20年産、はれわたりは22年産から津軽各地で生育状況や気温のデータを収集し収穫適期マップを開発した。

 検証の結果、田植え時期の違いや気象環境を反映しているため、積算気温だけに基づき収穫適期を推定する従来の方法よりも実際の成熟状況との差が少なく精度が高いことが判明。23年8月末に津軽地域のマップを公開後、921人が延べ3423回利用し、使いやすさや満足度で評価が高かったという。

 24、25年はアンケートなどで現場の意見を募りながら県南地域のマップを試験公開し、26年産から全県的に本格運用する予定。

 20日に青森市で開催した農林総研の成果発表会で開発を報告した。発表したスマート農業推進室の千葉祐太主任研究員は取材に「最近は気温の変動が激しく、収穫適期を見極めるのが難しい。いい品質で刈り取るためにぜひまっしナビやはれナビを使ってもらい、いつから収穫すればいいか判断してほしい」と話した。

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