F１はプレシーズンテストも終了し、いよいよ今週末のバーレーン・グランプリで新たなシーズンの開幕を迎える。
バーレーン・サクヒールのバーレーン・インターナショナル・サーキットで実施された３日間の直前テストでは、各ドライバーが精力的に周回を重ね、その中で各チームの新型車が見せたパフォーマンスから、各国メディアはそれぞれのポテンシャルを評価するとともに、2024年の勢力図を予想している。
注目の新生チーム、ビザ・キャッシュアップ・RB（以下RB）は角田裕毅が157周、ダニエル・リカルドが210周を走行し、多くの有益なデータを収集し、ドライバーやスタッフは口々にポジティブな印象を明かしているが、英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、このイタリア籍のチームについて以下のような展望を示した。
「昨年、角田は直前テストを６番手で終えたが、最初のレースウィークエンドの予選では14番手に終わっている。彼とリカルドは再びスランプが起きないことを願っているだろうが、両者ともに今季は好成績を収める可能性を秘めており、バーレーンでの最初の予選はそれを証明するチャンスとなるだろう。RBは昨季よりも良い車を持っており、上位集団とはまだ少しの差がありそうだが、中団争いでは先頭に立てるはずだ」
また、別の記事においても同メディアはRBをポジティブに評しており、その名称やレッドブルのセカンドチームとして位置づけは悪い意味での議論の対象になったものの、「チーム自体は冷静に良い仕事を果たした」と称賛している。
チームの位置づけとしては、「レッドブルを追いかける第２集団の後方につけるか、その集団の先頭にいるかのどちらかだろう」と展望し、「どちらのシナリオも、このチームにとっては良いものだ。リカルドは楽観的でバーレーンGPでは予選Q３入りを争えることを期待し、チームも自信を得たようだが、後者はまだ後続集団から抜け出したという確信は持っていないようだ。しかしテストでは、『VCARB01』はコース上で安定感があり、良いパフォーマンスを発揮したという印象が得られた」と綴った。
また、注目されるレッドブルとの類似性については、「昨季のチャンピオンカー『RB19』のコピーなのか？ 答えはノーだ。もちろん、前後のサスペンションやギアボックスはレッドブルのものを使用しているが、空力的には明確な違いがある。これは昨季終盤のアップデートの成果を基にしたものだ。もし、それが成功しているなら、VCARB01のパフォーマンスは、その中途半端な名称とは対照的に、はるかに説得力を持つだろう」として、そのポテンシャルを高評価している。
スポーツ専門サイト『sportskeeda』は、10チームを早い順に４つに区分けし、「第１列」は優勝候補筆頭として王者レッドブル、「第２列」にフェラーリ、マクラーレン、メルセデス、アストンマーティンの強豪チーム、「第３列」はRBのみ、そして「第４列」をザウバー、ウィリアムズ、アルピーヌ、ハースと順序づけた。
チームとして６番目の評価となったRBに対しては、「ここまでを見たところ、唯一の中団チームである。トップ５のすぐ後ろに位置するとともに、下位４チームはクリアしているように見える。直前テストを成功裏に終え、次は新シーズンを迎える」と、こちらも好意的な見方であり、躍進への期待を寄せている。
スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』も、「テスト最終日、角田がシャルル・ルクレール（フェラーリ）から0.453秒遅れの全体５番目のタイムを計測した一方で、RBのロングランペースはレースシミュレーションのベストタイムよりも1秒以上遅かったということで、正確には先頭集団に入ったというわけではないが、バーレーンGPでは中団争いをリードする可能性がある」と報じた。
F１公式サイト『F1.com』も「新しい名称で初めて臨んだテストに満足したRBのVCARB01は、テストの３日間でほぼ完璧に走行した」と、新生チームの歩みをポジティブに振り返ったが、果たして今週末の船出において、どのような印象を見る者に与えるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
