【365日の防災】孤立恐れの集落把握へ 物資備蓄や通信再点検 能登地震踏まえ福島県 防災計画修正案示す

 能登半島地震で土砂崩れや道路の損傷などによる集落の孤立が課題になったのを受け、県は県内で孤立する恐れのある集落の洗い出しと、非常用物資の備蓄や通信手段確保の状況を再点検する。26日、県庁で開いた県防災会議幹事会で県地域防災計画の修正案を示した。孤立する恐れのある集落を市町村に聞き取るなどして把握し、非常用物資の十分な配備を促す。市町村の求めがあれば、助言など必要な支援を検討していく考えだ。

 

 地震や豪雨など、大規模な災害が発生した場合、代替路がない山間部などの集落は孤立が想定される。県は計画に基づき今後、孤立の危険性がある集落を事前に把握するため、市町村の防災業務担当者らに地域の交通環境などを聞き取る。市町村が防災倉庫などに備蓄している物資の状況や災害時の通信手段の有無を集落ごとに確認し、課題があれば適切な配置を求める。用意すべき備品の種類や地域の世帯数に応じた必要数などを助言し、非常用物資の内容を充実させる。

 行政区や町内会単位でつくる「地区防災計画」の策定や自主防災組織の有無などを合わせて確認し、地域防災力の強化につなげる。

 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県は、珠洲市や輪島市などの中山間地域や沿岸部で土砂崩れなどにより道路が寸断され、最大約3千人が取り残された。孤立した集落での救助の遅れや避難生活に必要な物資が不足するなどの問題が生じた。

 福島県では2019(令和元)年10月、台風19号による増水で久慈川に架かる橋が流され、矢祭町高地原地区の住民約30人が22日間にわたり孤立状態となった。 内堀雅雄知事は26日の定例記者会見で、能登半島地震での孤立集落の多発を受け「県内では中山間・過疎地域などで1本しかない道路が寸断した場合、同じことが起きることになる。その先(の集落)には高齢者、要支援者が多いということが十分あり得る」と危機感をあらわにした。

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