【弥生賞/危険な人気馬】前走快勝も“消し” 「0.2.0.13」の勝ち切れないキャリアと疑問が残るレースレベル

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今週は皐月賞へ向けたトライアルレース、第61回弥生賞ディープインパクト記念(GII、芝2000m)が中山競馬場で行われる。

今年は、ホープフルS2着のシンエンペラーをはじめ、トロヴァトーレダノンエアズロックファビュラススターといった、無傷2連勝中の素質馬が集結。登録馬は12頭にとどまったが、クラシックを見据える上で重要な一戦だ。

そんな中、若駒Sを制したサンライズジパングが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■気になるキャリアの多さと前走のレースレベル

ダートの未勝利戦を勝ち上がり、JBC2歳優駿では、サウジダービーを制したフォーエバーヤングと0秒4差の2着に健闘したサンライズジパング。そのままダート路線を突き進むかと思いきや、ホープフルSで3着に好走すると、前走の若駒Sでは、豪快な末脚を繰り出して快勝。一躍クラシック戦線に名乗りを上げる存在となった。

通算8勝を誇る“弥生賞男”武豊をパートナーに注目を集める存在ではあるが、芝の王道路線を歩むには、やや異質なキャリアが何とも引っ掛かる。ここまでのキャリア6戦は、メンバー中最多タイで、この時期の3歳馬としてはやや多め。過去10年の弥生賞でも、キャリア3~5戦の馬が各3勝ずつと、デビューからもたつくことなく順調に勝ち上がってきた馬が、上位に入線している。

一方、キャリア6戦以上の馬は【0.2.0.13】と勝ち切れていない。2014年ワンアンドオンリーと、昨年のトップナイフがそれぞれ2着に好走しているが、前者は芝重賞勝ち、後者は芝GI連対実績があり、すでに芝の大きいレースで結果を残していた。対するサンライズジパングは、GI3着があるものの、芝で勝ったのは前走のみ。さらに相手が強くなる弥生賞でどこまで戦えるか微妙だ。

また、前走若駒Sのレースレベルにも疑問符が付く。豪快な勝ちっぷりから強く印象に残る一戦だったが、当日の馬場状態は重馬場で、道悪適性がこの馬に向いた可能性は高い。加えて、2着のミカエルパシャは先週のすみれSで6着、3着のブエナオンダは続くきさらぎ賞で7着と、破った相手のその後の成績はいずれも着外に敗れており、メンバーにも恵まれた一戦だったのではないか。

比較的雨模様に見舞われることが多い弥生賞。馬場が悪くなれば出番もありそうなサンライズジパングだが、今週の中山は降雨量も少なさそうで、道悪は見込めそうもない。本来はダート交流重賞のブルーバードCを目指していたが、出走は叶わず若駒Sへ方向転換し、思わず“勝っちゃった”からクラシック路線へ、という印象は否めず、芝の一線級のメンバーを相手に、果たしてどこまで通用するだろうか。鞍上込みで人気を集めそうな雰囲気で、妙味ほどの信頼感はないと考え、ここは思い切って「消し」でいきたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。

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