野良猫の不妊手術に特化 長崎・香焼にクリニック開設 「殺処分をしない町に」

野良猫の不妊化専門クリニックを開設した山野さん(中央)とスタッフ=長崎市、長崎さくらねこクリニック

 一般社団法人長崎さくらねこの会(長崎市、山野順子代表理事)は、野良猫の不妊化手術を専門に行う「長崎さくらねこクリニック」を同市香焼町に開設した。山野さんは「長崎が猫を殺処分しない町に近づけばうれしい」と話す。
 殺処分されるだけでなく、交通事故や病気で死んでいく猫は後を絶たない。こんな状況を「何とかしたい」と山野さんは2018年から同市魚の町などで野良猫を捕獲して不妊化し、地域に戻した後も餌やトイレの管理を行う地域猫活動に取り組んできた。
 猫の繁殖力は驚異的で「不幸な猫を増やさないためには不妊化が鍵を握る」と考える山野さん。これまでに約800匹を捕獲、不妊化してきた。ただ、すべての動物病院が野良猫の不妊化に対応しているわけではなく、2週間程度待たされることもあった。
 「飼い猫が優先される事情は分かる。ただ、繁殖力を考えると時間をかけていられない」と不妊化専門のクリニック開設を決意。昨夏、クラウドファンディングを実施すると約660万円の寄付が集まった。
 クリニックは昨春開設した保護猫のシェルターと同じ建物内に整備。半年がかりでようやく開設の日を迎えた。獣医師2人と契約し、1カ月のうち15日程度は手術ができる態勢。手術費用は一般的なクリニックより安く設定し、捕獲の依頼も受け付ける。
 山野さんは「多くの方の協力のおかげ。不幸な猫を減らし、生きる権利を守りたい」と、これからも力を尽くす覚悟だ。午前9時~午後6時、電話で予約を受け付けている。同クリニック(電080.2203.9329)。

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