タマネギの皮でSDGsな発電 長崎・佐世保北高科学部3年生4人が研究 全国高校生論文大賞で努力賞

野菜の皮などの色素を使い、安価で環境に優しい持続可能な発電につなげる研究に取り組んだ、(左から)北浦さん、松本さん、浅田さん、大住さん=佐世保市八幡町、県立佐世保北高

 野菜の皮など廃棄される素材などの色素を使い、安価で環境に優しい持続可能な発電につなげようと、長崎県立佐世保北高3年の4人が研究結果を論文にまとめた。タマネギの皮が持つ色素が最も効率よく発電すると結論づけた。論文は神奈川大が主催する第22回全国高校生理科・科学論文大賞の努力賞に輝いた。
 受賞したのは、科学部3年の浅田菜々美さん(17)、大住梨菜さん(18)、北浦啓菜(はるな)さん(18)、松本望実さん(18)-の4人。1年生の頃からテーマにすえ、地道に研究を続けてきた。顧問の小佐々恵輔教諭(30)も指導・助言した。
 4人は色素を使って発電する「色素増感太陽電池」に着目。各家庭からタマネギやミカンの皮など、廃棄される素材などを持ち寄り、効率的な発電が期待できる色素の特定を始めた。30種類以上で実験してみると、発電する効率が最も高かったのはタマネギの皮だった。
 なぜタマネギの皮なのか-。「4人で意見を出し合いながら、疑問を探究するのが楽しかった」と浅田さん。さらに調べると、タマネギの皮に含まれる黄色い色素「ケルセチン」が鍵を握っていることが分かった。ただ、ケルセチンの成分だけを使って実験しても、タマネギの皮ほどの発電効率は得られなかった。最終的に、タマネギの皮に含まれるケルセチンと他の物質が影響して、発電効率が高くなったと考察した。
 受賞を受け、大住さんは「2年弱やってきたことが形に残ってよかった」、松本さんは「後輩たちに自分たちがやってきたことが伝われば」と笑顔。北浦さんは「協調性などがなければ研究はできなかった。社会でも生かせる能力を高められた」と振り返った。浅田さんは薬剤師を目指して大学に進学し、研究を続ける予定。「研究に興味を持ったのは、科学部に所属していたから。患者の気持ちに寄り添える薬剤師になりたい」と夢を語った。

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