ごみ散乱の海岸に危機感、児童が清掃、ウミガメ産卵 鹿児島市

ウミガメ保護の取り組みで表彰された浜田蓮音君=鹿児島市の喜入小学校

 ウミガメが産卵する鹿児島市喜入地区の海岸で3年間、清掃活動に取り組む喜入小学校6年の浜田蓮音君に第10管区海上保安本部から感謝状が贈られた。浜田君は漂着ごみを拾い続けた日々を振り返り、「大変だったけどやってきてよかった」と笑顔を見せた。

 4年生の夏ごろ、ウミガメの産卵やふ化した子ガメを見に同地区の前之浜海岸を訪れた際、捨てられた漁具やペットボトルが邪魔で動きにくそうな姿を目の当たりにした。「ごみのせいで産卵に来られなくなる」。危機感を抱いて以来、毎朝近所の大丸海岸に足を運び、登校前に30分の清掃をしている。

 自作の看板や海洋ごみ専用ごみ箱を海岸に設置。同校の児童や地域住民と協力しながら活動を続けるうちに徐々にごみが目立たなくなり、昨夏は2年ぶりに産卵が確認された。「多くの人の力も借りながら続けた活動が実を結んでよかった」と振り返る。

 21日に同校であった授与式では、これまでの活動内容を全校児童約240人に向けて発表。清掃前後の海岸の様子やごみが生物に与える影響、分別の重要性を説明し、「ごみが流れ着かない持続可能な砂浜にすることが、未来を生きる僕らの大きな役割」と訴えた。

 卒業後は地元を離れ、県外の中学校に進学する。「きれいな砂浜は当たり前じゃない。ウミガメが産卵できる場所をみんなで守っていきたい」。海岸の未来を後輩たちに託す。

父親と一緒にごみを拾う浜田蓮音君。おかげで海岸はこんなにきれいに=鹿児島市喜入町

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