香港、景気支援で不動産抑制策廃止へ 24年成長率2.5─3.5%と予想

Clare Jim James Pomfret

[香港 28日 ロイター] - 香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は28日、予算演説を行い、低迷する不動産市場の活性化および景気支援に向けた措置を発表した。今年の成長率を2.5─3.5%と予想した。

2023年は3.2%だった。

陳財政長官は、住宅用不動産の購入抑制措置を全て廃止するとし、不動産投資信託(REIT)の譲渡にかかる印紙税を免除すると述べた。

高水準の金利や複雑な地政学環境、財政赤字の拡大などの課題を挙げ、資本、企業、観光客を呼び戻し財政均衡を回復するために不動産、観光、金融サービスにまたがる複合的な措置を発表した。

「住宅用不動産の需要側の管理措置を全て直ちに停止することを決定した。現在の経済・市場環境で、このような措置はもはや必要ないと考える」と述べ、不動産市場関連措置をさらに調整する余地があるとした。

不動産市場が過熱していた時期に導入した外国人による購入と2件目の不動産購入に対する追加印紙税も対象となる。

香港金融管理局(HKMA)も、不動産ローンの規制を調整。一部の物件について住宅購入者が借りられる資金の上限を引き上げる。

香港はかつて住宅価格が世界で最も高い都市の一つだったが、市場心理の悪化や金利上昇で21年のピークから20%急落した。今年さらに10%の下落を予想するアナリストもいる。

予算の発表を受けて香港株式市場の不動産株指数は一時2%強上昇。

ナイト・フランクの大中華圏リサーチ・コンサルティング担当責任者、マーティン・ウォン氏は「短期的には取引が刺激され、不動産市場と市場の信認回復、不動産価格の安定化につながるだろう」と述べた。

政府は中国経済低迷を背景とする本土観光客の減少に苦しむ観光産業向けに、10億香港ドル(1億2700万米ドル)以上の支援策を講じる。観光名所のビクトリア・ハーバーで花火やドローンのショーを毎月行うなど、今年上半期に80以上の大規模イベントを開催する予定だ。

香港政府は過去5年間のうち4年間で財政赤字を記録した。陳氏は「財政均衡目標の達成に向けて段階的に赤字を縮小する財政健全化戦略を採用する」と表明したが、具体的なスケジュールは明らかにしなかった。

23─24年度の連結財政赤字は1016億香港ドルで、市場予想と一致。24─25年度の見通しは481億香港ドル。

政府債務の対域内総生産(GDP)比は24─25年度から28─29年度まで9─13%になる見通し。

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