「神武天皇像」修復へ 小矢部・城山公園のシンボル 地震で足元から倒壊

倒壊した神武天皇像を運び出す保存会メンバー=小矢部市の城山公園

  ●地元保存会 高岡の業者へ搬出 

 小矢部市の城山公園にある「神武天皇像」が能登半島地震の影響で足元から倒壊し、地元住民らが28日、修復のために高岡市内の銅器業者へ運び出した。西南戦争以降の戦没者をまつる祠(ほこら)の上に建てられた銅像で、公園のシンボル的な存在にもなっており、住民らは一日も早く元の姿に戻るよう願った。

 銅像は高さ約3.6メートルで、約4メートルの台座の上に建つ。戦場で神武天皇が手にした弓にトビが止まって勝利を導いた場面を模しており、建立は1922(大正11)年と伝わっている。小矢部市の戦没者の遺族で組織する城山公園招魂碑保存会が維持管理に当たっている。

 能登半島地震の揺れで、銅像が地面に落下したことが1月2日に判明した。頭部が大きく欠け、弓を持つ右手などが破損していた。霊璽(れいじ)(位牌)の入った祠が壊れ、招魂碑なども倒壊していたため、住民が像の周辺をブルーシートで覆い、霊璽を近くの愛宕神社に仮遷座した。

 28日は、おはらい後、レッカー車で像をつり上げ、トラックに積み込んだ。修復には2~3カ月かかる見込みで、3月5日に開く保存会の総会で今後の対応について決める。祠には亡くなった会員も合祀(ごうし)しており、同所で行う5月4日の招魂祭は例年通り実施する方針。

 昨年11月ごろから高岡市内で銅像が盗まれる被害が相次いでいることを懸念し、盗難対策にも細心の注意を払っている。

 保存会の屋敷吉信会長(61)は「銅像の倒壊は悲しいが、会員や住民の支援を得ながら少しでも早く修復させたい」と話した。

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