伝統産業会館、うつわ歴史館 一体運用で三川内焼PRへ 新年度から複合化改修 佐世保市

一体運用する予定の三川内焼伝統産業会館(左)とうつわ歴史館=佐世保市三川内本町

 佐世保市は新年度から、三川内焼の古美術品や現代作品の展示などをしている「三川内焼伝統産業会館」を改修し、近隣の社会教育施設「うつわ歴史館」=いずれも同市三川内本町=の機能を集約する複合化改修事業を始める。老朽施設の長寿命化を検討する中で、一体運用することで三川内焼を中心とした観光や物産振興、教育の拠点として活用できると判断した。
 市によると、伝統産業会館(延べ床面積1822平方メートル)は1982年に建てられ三川内焼美術館を併設、歴史館(同547平方メートル)は96年に建設。両施設は百数十メートルの距離にある。
 伝統産業会館が築40年を超える中、市は公共施設の適正配置の視点を含めて今後の活用法を検討。歴史館の展示資料を伝統産業会館に移し、一体運用することで“相乗効果”を図ることにした。
 伝統産業会館は三川内焼の伝統技法の継承や後継者の育成などを目的に建てられ、江戸時代から現代までの代表作を見ることができる。絵付け体験や三川内焼の販売もしている。歴史館は、市内で発掘された世界最古の土器とされる豆粒文土器から陶器や磁器の時代の変遷を学ぶことができる。
 市は複合化に向けた改修の中で展示や設備を充実し、インバウンド(訪日客)需要の獲得も見据えている。改修事業は4年間を見込み、新年度は建物などの基本設計や敷地の測量などを進めたい考え。複合化後の歴史館の活用法については未定。定例市議会に提案した新年度一般会計当初予算案に事業費2900万円を計上した。2028年度に供用開始予定。
 市観光商工部は「両施設の強みを生かし、つながりのある展示の仕方などを工夫して、三川内焼の魅力を発信していきたい」としている。

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