「生きていてほしい」伝え続けて 弁護士・坪井さん講演 居場所ない子どもの支援シンポ 

居場所をなくした子どもに対し、周囲が「生きていてほしい」と伝え続けることを求めた坪井節子さん=佐賀市のアバンセ

 虐待被害に遭うなどして、家庭に居場所をなくした子どもたちの支援について考えるシンポジウムが22日、佐賀市のアバンセで開かれた。子どもたちの居場所づくりに取り組む社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」(東京都)の理事で弁護士の坪井節子さんが、当事者と真剣に向き合い、「生きていてほしい」と伝え続けることが大切だと訴えた。

 東京弁護士会の「子どもの人権救済センター」で子どもの人権問題に関わってきた坪井さんは、話を聞くことの重要性を強調。成績について責められる教育虐待やいじめが原因で自殺未遂をした男子中学生が、「母親に相談したら『それくらい我慢しなさい』と言われ、最後の命の綱がぷつんと切れた」と話したことを紹介し、「話半分で返事や解決策を示さないで、最後までじっくり聞いて」と求めた。

 虐待を受けた子どもたちは、自分の状況や感情をうまく話せない場合も多いといい、坪井さんは「話を聞かないと(子どもたちの)言葉が育たず、自分が伝えたいことを伝えられない」と大人の役割を示し、「『あなたに生きていてほしい』という思いがわずかでも届き続けていたら、生きる希望になる」と語りかけた。

 居場所を失った子どもたちの一時的な避難先「佐賀子どもシェルターばるーん」の活動報告もあった。シンポジウムは県弁護士会が主催し、約70人が参加した。(上田遊知)

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