ビキニ事件から70年 被ばくのデータ、いまだ米国家機密 長崎でシンポジウム視聴会

オンライン視聴する参加者=長崎市魚の町、市民会館

 米国による南太平洋ビキニ環礁での水爆実験で、静岡県のマグロ漁船「第五福竜丸」などの漁船乗組員や周辺住民が被ばくした「ビキニ事件」から70年を前に、事件を考えるシンポジウムのオンライン視聴会が28日、長崎市内であった。奈良大の高橋博子教授らの講演に参加者が耳を傾けた。
 シンポは原水爆禁止世界大会実行委員会が主催。静岡市内であり、長崎の視聴会には約10人が参加した。
 高橋教授は、米国が水爆実験の調査結果や写真を軍事機密扱いとし、現在も公開されていないと指摘。「被害者にとって命に関わる被ばくのデータがいまだに国家機密として隠されている」と批判した。
 現地会場で高橋教授と被爆体験者らが質疑応答。高橋教授は、米国による核被害の影響に関する研究の大きな問題点として、医学ではなく軍事研究に主眼が置かれているとし「欧米の科学者とも協力して、被爆者に何があったかを明らかにし、どう防ぎ、どう救うかの研究を後押しする流れをつくることが大事だ」と答えた。

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