復興の希望胸に門出 被災地の高校で卒業式 スマイルアップもサプライズで登場

金沢の避難先から戻り、友だちと再会を喜び合う谷内前さん(右)=珠洲市のラポルトすず

 能登半島地震発生から2カ月の1日、石川県内の高校で一斉に卒業式が行われた。地震で体育館が損壊した珠洲市の飯田高や、生徒の多くが2次避難した輪島市の輪島高など5校は学校外の代替施設で式を行い、困難の中で門出を迎えた卒業生は周囲への感謝や復興への思いを語り、将来への希望を胸に巣立った。

 体育館が損壊し、避難所にもなっていた飯田高は、珠洲市の多目的ホールで開催。冒頭で黙とうをささげた。卒業生代表で、4月から県職員として働く北隆平さん(18)は「給水や炊き出し、支援物資の提供を通じて私たちの生活を助けてくださった人への恩返しをしたい」と答辞を述べた。式後、俳優の木村文乃さんがオンラインで卒業生にエールを送った。

 輪島高の式は金沢市の石川県立音楽堂で行われ、107人が巣立った。同校体育館は避難所で使えず、生徒の半数以上が金沢市や周辺の自治体に避難しており、創立100年で初めて輪島市外で挙行された。

 平野敏校長が「輪島に残るみんなは一緒に新しい町を作ろう。いったん離れるみんなはいつの日かきっと戻っておいで」と呼び掛けた。卒業生代表の村本咲菜さんは答辞で、「輪りん高こう生としての誇りを糧に、力強く歩んでいこう」と決意を述べた。輪島市役所に就職する松野光さんは「ふるさとの復興に尽くしたい」と話した。

  ●東山さんら登場

 式後、「SMILE―UP.(スマイルアップ、旧ジャニーズ事務所)」の東山紀之さん、長野博さん、「Sexy Zone」の中島健人さん、「Lilかんさい」の大西風雅さん、嶋﨑斗亜さんが登場。思わぬサプライズに女子生徒ら歓声を上げた。

 門前高では体育館で卒業式を行い、12人が巣立った。3学期の再開が遅れ、今年の学校生活はわずかな期間だったが、全員そろっての門出に喜びがあふれた。

 3年生12人は「地震で当たり前に感じていた生活はかけがえのない大切な時間だったと気づいた」「復興に向けて一歩一歩、前に進んでいきましょう」「12人一人一人が大切な存在であり、この12人で良かったと心から思う」などと答辞を述べた。

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