てんぐが家々回り悪魔払い 鹿沼で5年ぶり「板荷のアンバ様」

家々を回り悪魔払いを行う大てんぐ、小てんぐ=2日午前10時5分、鹿沼市板荷

 栃木県鹿沼市板荷地区に伝わる厄よけの行事「板荷のアンバ様」が2日、同地区で始まった。5年ぶりの実施で、みこしやてんぐ姿をした一行が地区内の家々を回り、悪魔払いした。3日も行い、2日間で約150軒を回る。

 行事は市指定無形民俗文化財で、アンバ様は地域の安全の神として信仰を集めている。江戸期から150年以上続くとされるが、新型コロナウイルスの流行で2019年を最後に中止が続いた。

 日枝神社での神事の後、一行はみこしを担いで地区内を巡行。大てんぐ、小てんぐが庭から家の中に勢いよく駆け上がって呪文を唱え、獅子が子どもたちの頭をかんで悪魔を払った。

 曽祖父宅で行事を見届けた同市千渡、糸井霞(いといかすみ)ちゃん(3)は目に涙を浮かべながら「怖かった」、母親の京咲(みさき)さん(24)は「お利口さんに育ってほしい」と願った。

 今年からアンバ様保存会会長になった阿部和隆(あべかずたか)さん(47)は「久々の行事で準備に苦労した。伝統を絶やさぬよう来年以降も盛り上げたい」と話した。

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