輪島の如月祭、石浦神社で神事 重蔵神社被災、氏子集い参拝

輪島まだらを歌い上げる氏子=石浦神社

  ●伝統継承、復興へ願い込め

 能登半島地震で被災した輪島市河井町の重蔵神社に伝わる県無形民俗文化財「如月(きさらぎ)祭」の神事が2日、同神社のご神体を一時的に「避難」させている石浦神社で営まれた。重蔵神社の拝殿が損傷で使用できないためで、氏子が金沢に集まって参拝し、500年以上続く神事の継承と復興への願いを込めて手を合わせた。

 如月祭は毎年3月1~7日、数え49歳の男衆が当番の家にこもり、破魔矢を放つ「蟇目(ひきめ)式」の神事儀礼などを行い、地域の繁栄を祈る。今年は地震で大部分を取りやめたが、伝統の継承のため、最終日の昇殿参拝だけでも金沢で行うことにした。

 能門亜由子禰宜(ねぎ)や祭礼に奉仕予定だった「辰巳絆友会」の6人が、輪島市や2次避難先から石浦神社を訪れ、神事の後に「輪島まだら」を歌い上げた。

 古谷泰晴会長(47)は「如月祭で奉仕するのは一生に一度。残念だが、参拝できるだけでもありがたい」としみじみと語った。

 重蔵神社は現在、地震で社務所が全壊し、拝殿や本殿は立ち入ることができない状態となっている。能門禰宜は夏以降、できるだけ神事を再開したいとし「一つでも多くの神事を継続していけるよう、頑張りたい」と話した。

© 株式会社北國新聞社