「販売戦略など参考に」 一畑電車に銚子電鉄グッズ登場のわけ

島根県松江市と出雲市を結ぶ一畑電車の売店で、千葉県にあるローカル私鉄の特産品が販売されています。

ローカル私鉄同士の支え合いにも発展しそうな取り組みを取材しました。

入江直樹 記者
「神門通りにある一畑電車、出雲大社前駅の売店です。こちら、見慣れないものを売っていると思ったら、おっ『ぬれ煎餅』じゃないですか。」

製造元には、くっきりと千葉県銚子市、銚子電気鉄道の文字が。
焼き立てのせんべいを特産の醤油に浸して軟らかく仕上げたのが、ぬれ煎餅です。

鉄道部門の赤字をたい焼きや、このぬれ煎餅の売り上げで補い、社長自ら「うちは食品メーカー」と、自虐ギャグを飛ばす銚子電鉄の看板商品が何故、出雲に?

一畑電車営業課 白築建志さん
「昨年の秋にこちらで開催されました灯台サミットに(銚子電鉄が)お越しになった際に具体的な話が進みまして。こちらの商品も銚子(電鉄)さんでお売りするという、相互交流という形をこれから進めて行く予定にはなっております。」

経営状況のまずさを逆手に取った「まずい棒」にはじまる自虐ネタ商品の数々など
熱意とアイデアで危機を切り抜ける銚子電鉄からは、今回、「ぬれ煎餅」シリーズや「銚電チキンカレー」、「銚電らーめん」も島根に上陸しています。
2月は2回の3連休もあってぬれ煎餅シリーズは売り切れ状態で、近く再入荷する予定です。

また人気のグッズを通じて、一畑電車がそのノウハウを学びたい狙いもあるといいます。

(インタ)一畑電車営業課 白築建志さん
「少子高齢化もありまして、鉄道収入っていうのが各社とも落ちて来てますので。銚子といえばぬれ煎餅というネームバリューもありまして。鉄道外収入が強いものをお持ちというのはとても魅力あると思います。鉄道事業を穴埋めできる程の強力な商品を(一畑は)まだ持っておりませんので。販売戦略等々、参考にさせて頂いて次につなげて行ければと。」

一方、一畑電車の方も負けていません。
出雲大社前駅に銚電グッズと前後して1月24日登場したのがこちら。
500円硬貨を入れて出て来たのは厚紙の切符です。

入江直樹 記者
「こちら懐かしい硬券の乗車券です。ガチャガチャから出て来るからおもちゃだと思ったら違います。日付を入れてもらった上で・・・お願いします。(改札通って)電車にもちゃんと乗れるんです。」

「硬券」と呼ばれる厚紙の切符です。
出雲大社前駅から電鉄出雲市駅まで通常運賃と同じ500円で、乗車後は記念に持ち帰ることもできます。

一畑電車営業課 白築建志さん
「改札口もいまだに係員がハサミを入れてる形で行っておりますし、都会の方にはなかなか慣れない、見慣れない光景ですので、そういった所が逆に良いのかなという。」

一畑電車の5つある有人駅では現在も硬券の入場券を売っていますが、乗車券はここが唯一です。
復刻するに当たり、昔の会社のマークを刷り込むなど、今、人気のレトロ調に仕上げました。

昭和初期の電車が見学できる状態で保存され、ステンドグラスから明かりが差し込む懐かしい造りの駅舎は、神門通りの定番観光スポットの1つ。
ベテラン銚子電鉄グッズも加わって、大社参拝で訪れる観光客たちの財布の紐を一気に緩めさせたいところです。

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