複数ルート、山車通れず 伏木曳山祭、電線低く、道路損傷

電線の高さや道路状況などを調べる祭り関係者と業者=高岡市伏木錦町

  ●行政、業者に早期復旧要望 

 今年5月17、18日に高岡市伏木地区で開かれる「伏木曳山(ひきやま)祭(まつり)」を運営する祭りの実行委員会は3日、祭りの巡行路で、能登半島地震による路面や電線の被害調査を行い、現状では複数ルートで山車(やま)が通れないことが分かった。実行委は調査結果を取りまとめ、行政や業者に道路と電柱の早期復旧を求める。祭りの安全な運営に向けて山町などと協議を重ね、4月10日の実行委総会で、開催規模や巡行ルートを発表する。

 調査には、実行委や各山町の住民のほか、高岡市職員、電気・通信事業者の担当者ら約70人が参加した。参加者は、三つの班に分かれ、昼と夜に巡る巡行ルートの状況を確認した。

 検測用のさおで電線や電柱の高さを測り、地割れしたり隆起したりしている道路の状況を写真に収めた。住宅地図に異常がある箇所を記録した。

 山車は重さ約8~10トン、高さ約8メートルで、巡行するには電線の高さが山車を上回っているほか、通行に支障のない路面状況である必要がある。調査の結果、液状化現象の被害が多発した伏木錦町や伏木中央町をはじめ、複数箇所で電柱の傾きや沈下によって電線が通常より低く下がっていたり、道路が激しく損傷したりしていることが判明した。

 祭りの際、メインルートとなる伏木駅前の県道や山車が行き来する「中道通り」、提(ちょう)灯(ちん)山車をぶつけ合う「かっちゃ」の会場でも、電線の垂れ下がりや道路の傷みがあった。

 実行委は、従来通りの開催に向けた準備を進めながら協議を続け、4月の総会で具体的な開催内容を決める。順路が決まり次第、電線と道路の状態を再度調査する。行政による地盤調査も行われている。

 今年は安全調査に多額の費用がかかることが想定されるため、市民らによる支援「サポーター制度」で資金を募る。実行委の針山健史会長は「従来通りの巡行は難しいかもしれないが、安全面をしっかり確認し、地域の皆さんに元気な姿を見せたい」と話した。

  ●新湊の協議会が激励金

 射水市内の曳山・築山団体でつくる市曳山協議会と新湊曳山協議会は3日、交流が深い伏木曳山祭実行委に激励金10万円を贈り、開催へエールを送った。激励金は祭りの運営に活用される。

 射水市曳山協議会の八嶋浩久会長と、新湊曳山協議会の中野剛会長らが伏木本町の山倉を訪れ、激励金を渡した。八嶋会長は「伝統をしっかり受け継いで、われわれと祭りを盛り上げていこう」と述べた。中野会長は「皆さんの頑張る姿で伏木の町を元気にしてほしい」と力を込めた。

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