避難所集約で引っ越し 七尾・田鶴浜 住民感謝「ここで良かった」

避難所の引っ越しにあたり、施設で布団の片付けを進める職員=田鶴浜高

 七尾市田鶴浜体育館と田鶴浜高の避難所が3日、閉鎖され、田鶴浜地区コミュニティセンターに統合された。市は地域ごとに避難所の集約を進めており、地震後に35カ所あった指定避難所は17カ所に。引っ越し作業に当たった被災者は、苦しいながらも仲間と支え合って過ごした拠点に別れを告げ、新しい環境での生活をスタートさせた。

 田鶴浜体育館では午前9時からテントや畳の片付け、床の掃除などが行われた。避難者の中村斗星(とし)さん(22)は「みんなと家族のような関係で、楽しく過ごすことができた」と振り返り、慣れ親しんだ施設を後にした。

 田鶴浜高では、布団やタオル、介護用品など支援物資に交じっていた学校の備品を仕分けし、同校に返却する作業が進められた。避難所運営を担ってきた水野美樹(よしき)さん(60)は、退所する住民が涙ながらに「ここが避難所で良かった」と語ったことを振り返り、「本当にうれしかった」と笑顔を見せた。

 統合先となった田鶴浜地区コミュニティセンターには同日、約60人の避難者が集まり、元々の避難所ごとに別々の部屋に入った。

 新しい環境での生活を激励しようと、田鶴浜ライオンズクラブが夕食にカレーライスを振る舞い、違う避難所にいた人たち同士が会話を交わすなど交流する光景も見られた。

 田鶴浜体育館から移った嵐川喜代一さん(77)は「体育館より部屋が狭くなるので、話し声などに気を付けたい」と話した。

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