東北中央道2区間開通、効果あり 誘客増、医療や物流安定化

 国土交通省山形河川国道事務所は、2022年秋に2区間が開通した東北中央自動車道について開通後1年までの整備効果をまとめた。首都圏と新庄市が高規格道路で直結し、行楽期に関東から最上地域を訪れた人は約1.6倍に増えた。昨年10月の国道13号と合わせた1日平均交通量は、21年の同国道の年間平均と比べ10%超増加。救急医療や物流の安定化など多方面に効果をもたらしたとみている。

 東北中央道は22年10月に東根北―村山本飯田両IC(インターチェンジ)間、同11月に泉田道路(新庄鮭川―新庄真室川両IC間)が相次いで開通した。

 観光面では最上、北村山地域への誘客効果があったとする。同事務所によると、23年5月の関東からの来訪者(休日)は、開通前の前年同月に比べ、最上地域で約1.6倍、尾花沢市で約1.3倍にそれぞれ増えた。道の駅尾花沢は23年5月の売上額が前年比22%増。同事務所のヒアリングに対し、尾花沢市は「高速道路ネットワークによる効果を感じている」と回答した。

 東根北―村山本飯田両IC間では、並行する国道13号と合わせた交通量が、開通前の21年の国道13号の交通量に対して12%増えた。東北中央道の利用が進み、国道13号の渋滞緩和にもつながっているという。

 医療関係では、最上地域から県立中央病院(山形市)などへの搬送時間が短縮された。通行経路は東北中央道か国道13号を選択できるため、消防関係者は「どちらかの道路が災害で通行止めとなっても、もう1本あるので心強い」とダブルネットワーク化を歓迎している。

 同事務所は、製品や農産物を関東方面に出荷する過程でも、ダブルネットワークによる輸送安定化が図られたと分析している。

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