人々の心も温め400年 上山・下大湯共同浴場、PR用のぼり製作

下大湯共同浴場前で開湯400年のPR用のぼりを手にする伊藤和幸代表=上山市

 上山市十日町の下大湯共同浴場(伊藤和幸代表)は今年、開湯400年を迎えた。PR用ののぼりを製作したほか、6月にはこれまでの歴史に合わせて計400時間、約25日間の無料開放を計画している。伊藤代表は「『400年』という数字は簡単なものではないし、多くの人の支えがあった証拠だ。これからも温泉地ならではの人間教育・社会形成の場としての文化をつないでいく」と語る。

 建物前の石碑などによると、下大湯は1624(寛永元)年の開設と伝わり、29(同6)年に上山に流刑となり約3年間を過ごした高僧・沢庵(たくあん)も入浴したとされる。現在の鉄筋コンクリート造り2階建ての建物は1957(昭和32)年の築造。近年は2017年に内装をリニューアルし、男湯、女湯でともに熱め(44度前後)とぬるめ(41度前後)のお湯が楽しめる。

 1月から周辺に設置しているのぼりには、白地に赤と青で「開湯400年」「歴史の浴場」と記し、節目の年をアピール。6月には記念イベントとして、近くの十日町商店街で開かれる「十日町いろは市」に合わせ、6月2日午前10時から計400時間にわたって無料開放して利用者に感謝を伝える考えだ。

 伊藤代表は「下大湯では職業や役職に関係なく、子どもから大人まで同じお湯に漬かり、他地区の市民や観光客も多く訪れてくれる。建物は古くて派手さはないが、笑顔があふれ、安心できる共同浴場であり続けたい」と話した。

 営業時間は午前6時~午後10時で無休。入湯料は中学生以上150円、小学生100円、洗髪料100円。問い合わせは下大湯080(7734)3101。

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