【ミャンマー】PMI節目割れ続く、徴兵懸念で退職も[経済]

米金融情報サービス大手のS&Pが1日発表したミャンマーの2月の製造業購買担当者景気指数(製造業PMI)は46.7で、景況判断の節目である50を5カ月連続で下回った。軍事政権が発表した徴兵制の対象となることを恐れ、若手の従業員が退職する事例も出ている。向こう12カ月間の見通しは、2015年12月の調査開始以来で2回目となる節目割れになった。

ミャンマーでは昨年10月から国軍と抵抗勢力との戦闘が激化し、PMIは同月から節目割れが続いている。少数民族武装勢力などによる地方都市の占拠も相次ぎ、軍政は2月、態勢の立て直しに向け4月から徴兵を開始すると明らかにした。

S&Pのエコノミスト、マリアム・バルーチ氏は「徴兵制の発表はミャンマーの市民戦争が終焉(えん)から程遠く、激化する可能性を示唆している」と指摘した。武力衝突は2月に入って減っていたが、今後も油断できない状況となっている。

徴兵制実施の発表により、労働者不足が深刻化する恐れもある。兵役を逃れるために若手が退職するケースが出ており、軍政が徴兵を強行すれば労働市場をさらに混乱させる恐れがある。

バルーチ氏は「田舎に帰ったり国外に脱出したりする人が出ている」と指摘した。徴兵制実施の発表直後は、大都市で旅券(パスポート)や査証(ビザ)を取得しようとする人が当局に押し寄せていた。

最大都市ヤンゴンのビジネス関係者はNNAに、「軍政下で市民が疑心暗鬼に陥っており、情報が少ない中でパニックが生じることが増えている」と説明した。燃料不足のうわさが流れればパニック買いが発生し、徴兵制を巡って若者が危機感を募らせるという状況になっている。

国軍報道官は、徴兵数は年6万人規模となり、当面は女性を除外するとしている。対象となる人口の1%ほどにとどまるとして混乱を沈静化しようとしているが、反軍感情が根強い中、国軍への協力だけは回避したいと考える若者が多い。

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