鹿児島県の新体育館整備 イオン鴨池跡への変更を否定  理由は「土地取得に追加費用72億円必要」と県

米丸麻希子議員(手前)の質問に答える塩田康一知事=5日、鹿児島市の県議会

 鹿児島県は5日の県議会一般質問で、鹿児島港本港区ドルフィンポート跡に計画する新総合体育館の整備地を、8月末で閉店するイオン鹿児島鴨池店の跡地に変更する可能性を否定した。イオングループへの意向確認で、自社活用を検討していると回答を受けたことや、土地取得で72億円程度の追加費用が見込まれることを理由に挙げた。跡地を推した米丸麻希子議員(自民・姶良市区)への答弁。

 新体育館は事業費が当初より約68億円増の最大313億円となり、国の補助は3億円程度にとどまる。イオン鴨池跡を、施設整備と土地取得に国の社会資本整備総合交付金を充てられる都市公園区域に編入できないかとの質問に県は「編入の考えはない」と答えた。

 同交付金は、制度上は整備費の2分の1、土地取得費の3分の1が交付される。ただ、県は全国の事例を基に「国民体育大会関連施設以外の施設では併せて10数億円程度の交付と聞いている」と説明した。

 仮にイオン鴨池跡で整備する場合、2023年県基準地価の推計で土地(約3万6500平方メートル)取得に72億円程度の追加費用が見込まれると答弁。都市公園区域に編入して、新体育館と規模が類似する他県の施設と同じ19億円の交付金を受けたとしても「50億円程度が追加で必要」とした。

 建築資材や人件費の高騰が続く状況で、事業費がさらに増え、400億円を超えないと断言できるか問われた塩田康一知事は「現時点で400億円に上昇するような明確な根拠はない。今後の社会情勢の変化などで整備費が膨らむ場合は、議会に説明して論議を踏まえた上で対応したい」と述べた。

〈別カット〉一般質問に立つ米丸麻希子議員=5日、鹿児島市の県議会

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