栃木出身岩崎さん、本場仏で日本ワイン発信 初の試飲会が反響 7月から実家で生産、輸出へ

フランス・ブルゴーニュで初めて日本ワインの試飲会を開催した岩崎さん(岩崎さん提供)

 フランスでワイン造りを学ぶ栃木市出身の岩崎元気(いわさきもとき)さん(37)が、現地で日本ワインの発信に取り組んでいる。大平地域のブドウ農家の生まれで、7年前に渡仏。昨秋、現地で日本ワインをPRする初の大規模な試飲会を開き、大きな反響を呼んだ。7月には実家へ戻り、地域のブドウを使ったワインを造り始める。栃木のワインを世界へ輸出し、地域を盛り上げていくのが目標だ。

 岩崎さんは大学時代からワインにのめり込み、ワイン販売会社に就職。軽井沢で勤務していた頃、地元農家との交流から農業の魅力に引かれ、実家に戻りワインを造ることを決心した。

 30歳でフランスへ渡り、ブルゴーニュのワイナリーで経験を積んだ。醸造学の理論も身に付けるためブルゴーニュ大へ入学し、現在は修士課程の国家認定醸造士コースに在籍している。

 帰国後を見据えて、知名度が低い日本ワインの発信も計画。フランスでは和食やアニメなどの日本文化が人気で、多様なワインが受け入れられつつあるため、質が向上した日本ワインを売り込む好機として昨年11月、現地で試飲会「サロン・デ・ヴァン・ジャポネ」を開催した。

 足利市のココ・ファーム・ワイナリーなど国内32のワイナリーが74種のワインを出品。フランスの生産者や流通業者、飲食店関係者、愛好家ら約450人が訪れ、大盛況となった。

 岩崎さんは「日本ワインは驚きと称賛を持って受け入れられた。その地に適したブドウで、純粋においしいと思うワインを自由に追求することが重要」と振り返る。次回の準備も進めており、現地和食レストランと連携したイベントも予定するなど、継続的な発信に取り組んでいくという。

 7月に帰国し、ぶどう団地で父勝(まさる)さん(71)が経営する「藤野ぶどう園」を拠点にワイン造りを始める。周辺農家と協力して醸造用ブドウを確保し、県内のワイナリーで委託醸造。来春には第1弾が完成し、輸出する計画だ。

 自前のワイナリー設立や栃木のワインと食材を使ったフレンチレストランの開店も構想している。岩崎さんは「地元でブドウ農家が減る中、地域と協力し、ワインの魅力で地域を活性化させていきたい」と意欲を燃やしている。

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