「平和×ビジネス」 持続可能な活動へ 学生団体が模索 被爆者なき時代の道しるべに

ビジネスと掛け合わせ、持続可能な平和活動を目指す「MICHISHIRUBE」のメンバー=長崎市役所

 被爆者なき時代を見据え、長崎県内の学生団体が「平和」と「ビジネス」を掛け合わせた新たな取り組みを始めている。平和活動の継承のネックとなっている担い手不足と資金不足という課題解消を目指し、メンバーは「若い視点で持続可能な平和活動の在り方を考えていきたい」としている。
 団体名は「MICHISHIRUBE」(みちしるべ)。昨年10月に設立し、交流サイト(SNS)などを通じてつながった県内外の大学生12人が活動している。大半は県内出身者だが、元高校生平和大使がいれば、平和活動にはあまり興味がないというメンバーもいて、思いはさまざま。共同創業者の柏朱華さん(19)=鎮西学院大2年=は「平和だけでなく、ビジネスが加わったことで多様な人が集まった」と明かす。
 現在は各種SNSによる発信のほか、平和をモチーフにしたTシャツを販売しており、今後も新デザインの追加を予定する。この夏から修学旅行生や外国人観光客らを対象に平和ガイドを務めるための準備にも着手。それらで得る収入は、団体の活動だけでなく、若い世代の活動支援にも充てたいとしている。
 共同創業者の羽山嵩裕さん(19)=明治学院大1年=は「お金を稼ぎたいということではなく、あくまで平和活動を持続可能にするという目標のため、手段としてビジネスを用いる」と説明。「(将来迎える)被爆者なき時代に私たちが道しるべとなって持続可能な平和をつくっていければ」と決意を語る。
 団体は月内にも合同会社を設立する見通し。初年度で500万円の売り上げ目標を掲げる。代表の大澤新之介さん(20)=鎮西学院大2年=は「(持続可能にするため)平和産業をもっと構築していく必要があると思うが『平和で金もうけなんて』とタブー視されてしまう。大学生が大々的にアピールして行うことで風穴をあけたい」と話した。

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