トランプ氏出馬認める米最高裁判断、個別意見で深い分裂あらわ

Andrew Chung

[5日 ロイター] - 米西部コロラド州の大統領選共和党予備選を巡りトランプ前大統領の出馬を認めた連邦最高裁の判断は、判事9人全員が一致して下したものだが、中絶、銃、連邦政府の権限に関する近年の重大事案と同様、個別意見では判事間の深い分裂があらわになった。

判事のうち4人(リベラル派3人と新任1人)は5人の保守派判事に反発しており、オハイオ州立大学の選挙法専門家エドワード・フォリー氏は「判断理由について意見相違があるのは間違いない」と述べた。

最高裁は「とりわけ大統領など、連邦政府の公識者や候補者に関し、出馬資格を剥奪する憲法修正第14条3項を執行する責任は州にない」とし、その責任は連邦議会のみにあるとした。

ある州では候補者が不適格とされ、他の州では不適格にならないという「パッチワーク」を避けることができるとし、この点については判事全員が同意した。

しかし、リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事、エレナ・ケーガン判事、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事、そして保守派のエイミー・コニー・バレット判事は個別意見で、第14条3項は連邦法を通じてのみ執行されると規定した他の5人の判事を非難。連邦議会の深い党派的分裂を考えればそうした立法措置が行われる可能性は極めて低い。

ソトマイヨール、ケーガン、ジャクソンの3判事は、「目の前の事案以外のもの」を解決しようとする多数派の「余計な」判断に異議を唱えた。

バレット判事は、5判事の判断が行き過ぎだったとの見解に同意しつつ、選挙の年に当たることに触れ、リベラル派の言葉の選び方については不快感を示した。

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