“彩の国黒豚”でバッグ 皮革製造・川口「河内」、6月めどに販売へ

「県産ブランドとして長く使っていただける製品に」と話す河内由紀男さん(左)と健さん=4日午前、川口市芝

 埼玉県川口市芝2丁目の皮革製品製造「河内」が県産ブランド豚「彩の国黒豚」の革を使用したバッグなど、革製品の開発、製造に取り組んでいる。大切に育てた豚をあますことなく使い切ることも狙い。同社の河内由紀男代表(68)は「埼玉県産の存在感あるブランドとして、長く使っていただけるような製品としたい」と話している。

 「彩の国黒豚」は英国系「バークシャー種」を専用の飼料でじっくりと育てた黒豚。肉はうまみ成分に富み、甘みがあり、県によると2022年度には約3700頭が深谷市、熊谷市で生産されている。

 かつて食肉を扱う「JA全農ミートフーズ」で仕事をしていた同社の河内健さん(37)は、彩の国黒豚の革を使った自社ブランドの立ち上げを企画。JA全農さいたまをはじめ、皮をなめす加工業者らの協力を得て、新ブランドの開発に取り組むこととした。

 欧州では高級レザーとされる豚革だが、国内では人気、認知度はそこまで高くないのが現状。毛穴が残るため通気性が良く、軟らかくて軽く、丈夫なのが特徴。動物の原皮の多くは輸入だが、食肉の皮を使う豚革は全てが国内で自給できる素材のうちの一つという。

 彩の国黒豚は生育期間が長く、丁寧に育てられることから、革は優しい手触りながらも、しっかりとした厚みがある。また、「顔が見えるもの作り」を目指し、飼育から革製品の生産までの工程を全てトレース(追跡)できるようにすることで、手にする人の安心感にもつなげたいという。

 同社では現在、彩の国黒豚革の大・小サイズ「トートバッグ」、肩かけ小型バッグ「サコッシュ」などの試作に取り組んでいる。完成品は6月をめどに自社ECサイトなどでの販売を予定している。同社河内健さんは「食肉同様、革製品も同じ畜産物として販売することを目指したい。しっかりとした取り組みとして産業化したい」と話している。

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