片町にホテル計画 北陸新幹線延伸に合わせ コロナ停滞から再始動

  ●兼六園下「北陸会館」改修進む

 金沢市片町1丁目で、都内の不動産コンサルタント業者がホテル開発を計画していることが6日分かった。金沢市内では、兼六園下交差点そばでも既存ビルをホテルに改修する工事が進んでいる。16日の北陸新幹線敦賀延伸開業を前に、新型コロナで停滞したまちなかのホテル開発が再び動き始めている。

 片町でのホテル開発は、「FAV HOTEL(ファブホテル)」ブランドを展開する霞ケ関キャピタルが計画している。全国で13施設を運営しており、北陸三県での展開は初めてという。

 ファブホテルは3~6人のグループ客をターゲットに、通常のホテルよりも客室が広めに設計されている。宿泊代は客室単位で設定し、人数が多いほど1人当たりの宿泊代が割安となる。

 開発用地は片町スクランブル交差点から、南東約50メートルのコインパーキングで、2018年までパチンコ店が営業していた。その後は、別のホテル会社が取得したが、建設は延期となっていた。

 霞ケ関キャピタルは6日までに、土地約600平方メートルをホテル用地として取得した。取得額は非公表としている。

 片町のホテルは、アメニティーを充実させた高級志向の「ファブラックス」として運営する予定だ。客室数や開業時期は未定で、担当者は「金沢は観光地として素晴らしい場所だ。北陸新幹線の敦賀延伸もあり、宿泊需要が見込める」と話した。

 金沢市内では、兼六園下交差点の一角に位置するビル「北陸会館」で、ホテル営業に向けた大規模改修が行われている。既に一新された外観が見え始めており、今年春から夏にかけて開業する見通しだ。同市高岡町の旧「懐石つる幸」も「百楽荘」(能登町)が高級旅館として再生するため、改修工事を進めている。

 エステックホールディングス(金沢市)の武部勝社長によると、能登半島地震発生後、開発業者らが県内でホテル用地を探す動きはいったん落ち着いた。ただ、金沢への進出意欲は衰えておらず、地震後の観光客の動向を注視している会社が多いという。

 武部社長は市内の観光客は徐々に回復しているとし、「新幹線延伸で、被災しても安定した観光需要があると示すことができれば、金沢進出を望む業者はさらに増えるだろう」と推測した。

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