里親を「しま親」に名称変更 長崎県教委が離島留学制度の改善策 留学生の安心と負担軽減へ 

 長崎県教委は6日、県の離島留学制度に関して、新年度からの具体的な改善策を明らかにした。留学生を受け入れる里親は、児童福祉法上の里親と区別するために「しま親」と名称変更。選定条件や担う役割を明確にすることで、留学生の安心や、しま親の負担軽減につなげる。
 昨年、同制度で県立壱岐高に在籍していた男子生徒=当時17歳=が行方不明となり死亡した事案を受け、県教委は有識者や離島3市教委などと検討委員会をつくり、検証や協議を経て改善策を提案。(1)生徒や里親(しま親)に対するサポート体制の強化(2)生徒の受け入れ態勢の見直し(3)生徒に対する地域全体での見守り(4)教員の負担を軽減する環境づくり-の四つを柱にした。その報告書を基に県議会の意見などを踏まえ具体化した。
 このうち(2)では、しま親の選定条件として▽体験入学時の説明会に原則参加▽児童福祉法第30条の届け出を行う-など6項目を設ける。しま親が担う役割として、留学生1人につき1部屋を用意することや、土日祝日も含め3食を提供することなどを明文化した。留学生が安心して生活できるよう、新たに親子留学も導入し、ひとり親世帯には助成する。
 (1)では、実施5高校ごとに三つの運営組織を構築する。教育関係者による「離島留学推進協議会」は年度計画策定や制度検証、しま親の選定などを担う。緊急事態があればスクールカウンセラーや社会福祉士、民生委員らも交えた「支援チーム」が迅速に対応。連絡網を表記した危機管理マニュアルも作成した。しま親に対する研修や、保護者との情報交換をする「しま親連絡協議会」を年2回ほど開く。
 留学生の不調を早期に把握するため「心の健康観察ウェブシステム」を導入。年2回タブレット端末で回答を求め、必要に応じて保健室でも随時実施する。
 学校配置の離島留学支援員は計6人に倍増し、留学生の相談対応、しま親宅の訪問を充実させる。入学希望者のオンライン面接などの業務を加えた。
 (4)としては、対馬高と五島高の寮の舎監業務に、教員の代わりに従事する職員を計3人配置する。
 6日の県議会文教厚生委員会でこれらを報告。委員からは、増員する支援員の質を担保するよう要望が挙がった。改善策は後日、県教委ホームページで公開する。

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