『文藝別冊 高橋幸宏』が発売、即重版決定。サディスティック・ミカ・バンド、YMO、pupa、METAFIVE─ 音楽史に燦然と輝くグループでの活動、ソロアーティストとしても数々の名曲を残した音楽粋人の全貌

2023年1月に他界したミュージシャン・高橋幸宏の多彩な魅力、数々の偉業に迫った『文藝別冊 高橋幸宏』が2月16日に株式会社河出書房新社より刊行。名だたる寄稿陣による豪華誌面、資料性の高さなどが発売直後より大きな反響を呼び、全国書店店頭、ネット書店での好評を受け、このたび重版が決定した。

音楽粋人 高橋幸宏

1952年、東京都目黒区に生まれた高橋幸宏は、音楽好きの兄姉の影響を受け、17歳でドラムスティックを手にプロ活動を開始。大学在学中に加藤和彦率いるサディスティック・ミカ・バンドのメンバーとしてデビューした。 1970年代後半には学生時代に知己を得た細野晴臣の誘いを受け、坂本龍一と共にイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)へ参加、海外にも活動の場を広げ、世界的な人気を獲得した。2023年2月に行なわれたグラミー賞受賞式「イン・メモリアム」コーナーで追悼の意が表されたことからも、その絶大な影響力が窺える。 YMOの活動と並行して、ソロアーティストとしての楽曲制作を開始していた高橋は、J-POPの先駆けともいえる歌心溢れるポップサウンドを世に送り出し、その後もアーティストへの楽曲提供、プロデュースワークなど精力的な活動を続けた。 2000年代以降は、細野晴臣とふたたびタッグを組んだスケッチ・ショウを皮切りに、pupa、第3期サディスティック・ミカ・バンド、再々生YMO、METAFIVEなどグループでの活動が活発化。2023年に他界するまで、溢れる創作意欲が止むことはなかった。

▲写真:三浦憲治/『文藝別冊 高橋幸宏』P74~P75より(クリックすると拡大します)

『文藝別冊 高橋幸宏』の特長

テクノポップシーンをけん引した正確無比なリズムワーク、数々のソロ作品はもとより、抜きん出たファッションセンス、洗練された審美眼でも本邦音楽界に多大な影響を与えた高橋幸宏。 本書は、その類まれな足跡と交遊を物語る関係者インタビュー、音楽、ファッション、映画など、他分野にわたる専門家による寄稿文と、充実の作品紹介と年表、貴重なツアーパンフレットなどを基に、いち時代を築いた人物像に多角的に迫る決定版。 新旧ファンはもちろん、改めて氏の偉業をたどる方々にとって、高橋幸宏という音楽粋人の全貌を知り、ありし日の佇まいを浮かび上がらせる渾身の一冊が完成した。

『文藝別冊 高橋幸宏』の構成

① 10名におよぶ関係者へのインタビュー・対談 音楽活動、映画などで関わったクリエイターへのインタビュー「TALK ABOUT YT」、ファッションを通じて交流を持った関係者による対談「CROSSTALK ABOUT YT」、活動の変遷に沿って関りを深くしたキーマンたちによる氏への思い、深い洞察が語られている。

▲『文藝別冊 高橋幸宏』P52~P53より(クリックすると拡大します)

TALK ABOUT YT インタビュー ちょっと年の近い兄弟とつくりあげたヒューマングルーヴ ──小原礼(サディスティック・ミカ・バンド) 1980年代初頭のYMOと高橋幸宏 ──ピーター・バラカン(YMO時代にマネジメントと歌詞の英訳を担当) あれこそが高橋幸宏 ──砂原良徳(METAFIVEに参加、ソロ作品のマスタリングなどをつとめる) その人の粋とセンチメンタリズム ──小山田圭吾(METAFIVEに参加、再々生YMO、スケッチ・ショウなどで共演) 高橋幸宏との至福の時間 ──テイ・トウワ(METAFIVEに参加、ソロ作品で共作) 楽曲のなかの幸宏さんのエッセンス ──のん(楽曲提供を受ける) 私が幸宏さんを指さして「この人がいい」と言ったんです ──大林千茱萸(父・大林宣彦の監督作で高橋幸宏が主演をつとめる) スタイルを打ち建てること ──いとうせいこう(レーベル設立者と所属アーティストの関係から親交を結ぶ) 出来るだけいつものように ──高橋信之(実兄)

CROSSTALK ABOUT YT 対談 高橋幸宏ファッション考 ──祐真朋樹(担当スタイリスト)×青野賢一(ファッション誌担当編集者)

▲『文藝別冊 高橋幸宏』P76~P77より(クリックすると拡大します)

② 多角的な観点から高橋幸宏を捉える論考・エッセイ 高橋幸宏の多岐にわたる活動を、音楽はもちろん、ファッション、映画、文学、都市論といった観点から読み解く「THINK ABOUT YT」。古参のファンにとっても、きっと新たな視点が得られる粒ぞろいの論考・エッセイを収録した。 THINK ABOUT YT 論考・エッセイ 明日の空~高橋幸宏が残したポップ音楽の何げない奇跡 ──天辰保文 知りたかったのは「高橋幸宏が高橋幸宏になるまで」だった ──君塚太 Two of us in deep hurt 高橋幸宏と加藤和彦──松山猛、今井裕、堀江博久、川辺ヒロシとの対話から二人の関係性を考察する ──北沢夏音 高橋幸宏のシティポップネス──俯瞰する加工貿易的東京人間 ──柴崎祐二 YMOのイメージを体現していた高橋幸宏 ──畠中実 ビートニクス活動考──高橋幸宏と鈴木慶一のコラボレーションから ──湯浅学 エレガントな身のこなし、端正で抑制のきいた佇まい──高橋幸宏とフランスの文化芸術 ──青野賢一 風街からTOKIOへ──高橋幸宏が見つめた特別な東京 ──速水健朗 “裏”を強調するリズムから紐解く、ポップス愛とカウンター精神の音楽的多層構造 ──布施雄一郎

③ ツアーパンフレット、作品レビュー、年表など充実の史資料

▲写真提供:ヒンツ・ミュージック/『文藝別冊 高橋幸宏』P100~P101より(クリックすると拡大します) 所属レーベルが意匠を凝らして制作したツアー公式パンフレットの誌上ギャラリー「ARCHIVE OF YT PART 1」、主要作品+プロデュース作品のレビュー、年表「高橋幸宏とその時代」からなる「ARCHIVE OF YT PART 2」、充実の史資料でその類まれな足跡をたどる。 ARCHIVE OF Y 資料集 ツアーパンフレット 主要ディスクガイド ──岡村詩野 柴崎祐二 TAXIM 松村正人 村尾泰郎 山元翔一 門脇綱生 年表「高橋幸宏とその時代」 ──制作=パンス(TVOD)

▲『文藝別冊 高橋幸宏』P224~P225より(クリックすると拡大します)

④ 軽妙にして洒脱なエッセイ、対談などを再録 坂本龍一、椎名誠両氏との対談原稿、大林宣彦氏との往復書簡、細野晴臣氏による追悼文を掲載。高橋幸宏自身の軽妙洒脱な筆の運びを堪能できるエッセイ2編を再録した。 PlayBack YT 再録 あのころ、の話 ──坂本龍一×高橋幸宏 椎名誠←→高橋幸宏 ──椎名誠×高橋幸宏 準備万端の落とし穴 お茶漬けの夜 ──高橋幸宏 消えないスピリット。 ──細野晴臣 話は「寂しさ」からはじまった ──大林宣彦×高橋幸宏

▲『文藝別冊 高橋幸宏』P204~P205より(クリックすると拡大します)

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