大谷翔平と山本由伸の初共演「ドジャースの今後10年を予感させる」と米重鎮記者「ファンは悲鳴を上げて写真を撮り続け、売店ではグッズが…」と現場レポートも

現地3月6日に行なわれたシカゴ・ホワイトソックスとのオープン戦で、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平と山本由伸が初めて共演した。大谷は「2番・DH」で、山本は2度目の先発として出場。大谷は3打席で2打数2安打、1打点と快音が聞かれなかった前日のロサンゼルス・エンジェルス戦から一転してバットで魅せた。一方の山本は3回5失点という内容だった。

大谷と山本の初共演は米メディアも注目。米紙『USA Today』の重鎮記者ボブ・ナイチンゲール氏は、「ドジャースの大谷と山本が初めて共演。ドジャースの今後10年を予感させる」という記事を配信した。

「キャメルバックランチのスタジアムのゲートが開くと、ファンは座席を目指して疾走。歴史的なスプリングトレーニングの一戦を目に焼き付けようと、絶好のポジションを狙っていた。大谷翔平と山本由伸がドジャースの一員として一緒にプレーしたのは、これが初めて。ドジャースの今後10年がどのようになるのか、予感させるものだった」

ドジャース対ホワイトソックスの試合をこう表現したナイチンゲール記者は、「大谷の契約は10年、山本のそれは12年。日本の有名なコンビは、キャリアが終わる前にドジャースを複数回のワールドシリーズ制覇に導きたいと願っている」と続けた。

大谷と山本の同時スタメンには、ドジャースのチームメイトも反応。ベテラン・リリーバーのライアン・ブレイジャーは、「かなりクールなラインアップだった。初めてだとすぐには気付かなかったけど、“いい感じ”だったね」と語ったという。

また、スタジアムでのファンの様子もレポート。「ファンは山本がマウンドに上がった時、そして大谷が打席に入った時に悲鳴を上げ、写真を撮り続けた。ギフトショップには200ドルの大谷のジャージ、45ドルの大谷のTシャツ、さらに大谷のビールホルダーやキーホルダーが棚から飛び散っていた」と、現場の雰囲気も伝えている。
シアトル・マリナーズやニューヨーク・ヤンキース、ボストン・レッドソックスでもプレーしたベテラン投手のジェームズ・パクストンは、「こんな風景は見たことがない」と語った。「スプリングトレーニングでこれほど多くのファンを見たのは初めてだ。大きな歓声が巻き起こると、そこに大谷か山本がいるんだなって分かるほどさ」

ファンと同じように、ドジャースの選手たちも大谷と山本に注目している。とりわけ山本がルーティンとして行なっているやり投げには多くのチームメイトが関心を示しているという。「山本のルーティンを見るのが好きなんだ」と語ったのは24歳のスターター、ボビー・ミラーだ。「僕もあのやり投げをやってみようかな。何人か挑戦しているのを見たことがあるけど、難しいみたいだ。投げるのが難しくて、みんな足元がふらつくんだよ」

ドジャースの面々はシーズン中の移動が“ロックショー”のようになる現実を受け入れているようだ。ナイチンゲール記者は、「ドジャースは移動中の警備を強化している。ホテル内でのプライバシーは可能な限り保たれる。それでもチームメイトたちは多くのファンに見つかることも理解している」と記した。

ブレイジャーはこうも語ったという。「(2013年に)ロサンゼルス・エンジェルスにいた時のことを思い出すよ。いつでも、どこでも100人くらいのファンがマイク・トラウトを待っていたんだ。今年の大谷と山本はどうなるんだろう。想像がつかないね。でも、考えてみれば、ここには日本が生んだビッグスターがふたりもいるんだ。ふたりもね」

デーブ・ロバーツ監督も、ふたりの日本人選手を歓迎している。「由伸にとって、6年の経験がある翔平のサポートがあるのは大きいと思う。快適さがパフォーマンスと自信につながると信じている。同じ言語を話す者が近くにいれば、物事はよりシンプルになる。翔平にとってもいい影響があるだろうし、それは由伸にとってもね。いままでの2~3倍もあるメディアからの大きな関心も素晴らしいと思うよ」と話したように、日本人選手ふたりを擁する陣容に喜びを隠さない。

同じ言語を話し、同じ文化を共有、共感できる人物が近くにいることは、互いにメリットがある。ナイチンゲール記者は、「ふたりがいることで、互いの最高の部分を引き出す可能性がある」とし、それがドジャースの今後10年のプランだと指摘した。

構成●THE DIGEST編集部

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