黒部宇奈月キャニオンルート、富山県が一般開放を10月に延期

落石で橋桁や枕木が損傷した鐘釣橋 =黒部峡谷・鐘釣(黒部峡谷鉄道提供)

旅行商品、7月までに発売

 富山県は7日、6月30日に予定していた黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放を10月1日ごろに延期すると発表した。起点となる黒部峡谷鉄道が能登半島地震で落石被害を受け、例年5月の全線開通が10月にずれ込むため。既に延期していた旅行商品の販売は、7月上旬までに開始する。

 黒部峡谷鉄道のトロッコ電車は宇奈月駅から終点・欅平(けやきだいら)駅までの20.1キロを運行。能登半島地震により、欅平駅の一つ手前の鐘釣(かねつり)駅近くにある鐘釣橋に落石があり、橋桁の鉄骨が曲がったほか、枕木の一部が抜け落ちる被害が発生した。復旧作業は雪解け後の4月下旬の見通し。

 キャニオンルートは、欅平駅と黒部ダムを結ぶ約18キロの物資輸送路。上部専用鉄道やケーブルカーなどを乗り継いで電源開発の歩みや雄大な自然景観を体験でき、北陸新幹線敦賀延伸後の観光誘客の起爆剤として期待されていた。一般開放は11月29日までを予定し、延期によって受け入れ人数は当初の見込みより5千人少ない3千人となる。

 新田八朗知事は7日、報道陣の取材に「楽しみにしていた全国の方に申し訳ない。遅れはするが、2024年のうちに一般開放できる見込みとなったことはほっとしている」と述べた。約3カ月の後ろ倒しとなり「図らずも時間ができたので、さらに磨き上げることがないか、できることをとことんやっていく」と強調した。

 旅行商品は1泊2日の基本コースを基に旅行会社がツアーを造成する。当初は1月29日の発売を予定していたが、黒部峡谷鉄道の全線開通時期が不透明だったため延期していた。

黒部峡谷鉄道の猫又-鐘釣間に架かる鐘釣橋=2008年撮影

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