金門島付近の「現状」維持を、台湾が中国に要求

[台北 8日 ロイター] - 台湾で対中国政策を担当する大陸委員会は8日、台湾が実効支配する金門島付近に警備艇を送り込んで「現状」を変更しようとするのをやめるよう中国に要求した。

セン志宏・副主任委員兼報道官は記者会見で「(台湾)海峡を挟んだ現在の状況は管理可能なものであるべきだ。現状を変更するような行動は見たくない」と述べた。

台湾沿岸警備当局から逃れようとした中国の漁船が転覆し死者が出たことを受けて、中国は先月、金門島付近で海警局によるパトロールを常態化させた。

中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の政府活動報告で中国は台湾に対する態度を強めたかとの質問に対し、セン氏は「平和的手段」を通じて中国は台湾に関与したいと考えているとの見解を示した。

中国は「もっと自信を持って」そうした態度を示すべきと述べた。また新型コロナウイルスの流行により中断されたままになっている中国人学生や観光客の訪台を再開するよう求めた。

台湾国家安全局は議会に提出した報告書で、「平和的統一」と「両岸交流」が依然として台湾に関する取り組みにおける中国政府の最優先事項と分析した。ロイターが報告書を確認した。

しかし中国は現状変更のために軍事活動や経済措置などを用いて、台湾に対し「多方面から」圧力をかけ続けるだろうとも指摘した。

「中国は台湾海峡の現状を変える機会を待っている。台湾政府の対中政策に圧力をかけ影響を与えることを望んでいる」とした。

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