「身体張って闘っています!」リングネームにふるさとの名 女子プロレスラー・世羅りさ 5年ぶり故郷のリングに 地元の名を世界へ

ふるさとの名をリングネームに持つ女子プロレスラーが、広島に帰ってきました。恵まれた体格を生かした、ダイナミックなファイトスタイル。5年ぶりの地元凱旋で、温かく迎え入れられました。

大会前に大きなアクシデントがあっても、リングに立つ理由とは…。プロレスで元気を届ける一人の女性を深堀りします。

世羅町出身の女子プロレスラーが3日、広島・世羅町での地元凱旋に臨みました。多くの人が知っているあの大ベテランも、背中を後押ししました。

世羅りささんは、世羅町出身の32歳。試合の日は、朝早くから会場入りし、リングを一から自分たちで組み立てていきます。

女子プロレスラー 世羅りささん
「これ(ロープ)は、そんなに重くないが…」

男性でも、持ち上げるのは、簡単ではありません。

女子プロレスラー 世羅りささん
「新人の頃は(手順を)手書きで覚えていた。リングのコンデションを見られる。板が浮くから気をつけよう・バネやロープの調節など、こだわりを持っている」

世羅さんは「地元にエンターテインメントを届けたい」という思いで、凱旋試合に臨んでいます。

女子プロレスラー 世羅りささん
「(世羅町を)元気を与えられたら。『身体張って闘っています!』と、元気になろうとの思い」

如水館高校を卒業後、上京し、20歳でデビューした世羅さん。剣道部出身で、プロレスとは、無縁の生活だったといいますが、初めて見た試合で強い憧れを抱き、門を叩きました。父は、世羅町長の 奥田正和さんです。

10年前(2014年)の世羅りささん
「父(奥田町長)と私の夢は、一緒だと思う。世羅町を有名にしたい。一緒に夢を叶えてほしい」

凱旋の1週間前に救急搬送されるアクシデント…それでも地元に支えられ

ただ、プロレスは、アクシデントがつきものです。2024年2月下旬、東京で行われたシングルマッチ。

相手の技を受けた世羅さんは、リングにうずくまったまま立ち上がれません。頭を強く打ち、病院に救急搬送されました。

検査後のインタビュー 世羅りささん
「何が起こったか全然覚えていないが、めっちゃ元気です。元気なのに試合ができなかったことが、本当に悔しいの。リマッチ(再戦)します」

一時、地元での出場は難しいのではと、心配もありましたが、何とか間に合わせました。世羅さんが、ここまでして競技を続けるのは、地元の支えがあってこそだといいます。

会場の外では、試合と世羅町を盛り上げるためのイベントが開かれました。世羅さんの母 まゆみさんと、兄 裕一郎さん。チケットは、2人が販売していました。

世羅さんの母 まゆみさん
「世羅町を盛り上げるため『世羅りさ』と名づけた。元気な姿を見てもらってプレーしてほしい。ケガだけはしないようにしてほしい」

娘のりささんが、プロレスを通じて、成長した部分も教えてくれました。

世羅さんの母 まゆみさん
「コミュニケーション力も上がった。わがままでなくなった。リーダーシップもとれるようになった。プロミネンス(団体)を立ち上げて、仲間のことを考えて頑張っている」

世羅さんは2022年、ユニット「プロミネンス」を立ち上げ、年間100試合ほどをこなしています。

試合前ではありますが、地域との交流は欠かせません。高い所は、大の苦手だといいますが、ファンが喜んでくれるなら何でも挑戦します。

そして、高校の同級生と、10数年ぶりに再会しました。

高校の同級生
「友人が頑張っているのを見ると、こちらも元気もらえる。危ないことをすると、冷や冷やする。やばい爆発しているなど…。楽しみにしている」

“不可能を可能にする女”ジャガー横田さんも駆けつけ いよいよ凱旋マッチ

試合開始の1時間前、県外からの 世羅りさ ファンも駆けつけました。

岡山から
「普通のプロレスもできるし、デスマッチもできる。オールマイティが魅力」

東京から
「世羅さんはファンをすごく大事にしている。凱旋で気合も入っていると思うし、きょう復帰なので、楽しみ」

会場には、およそ300人が集結しました。

3日は、4試合が行われました。華麗な空中殺法や迫力のある戦い、時折、笑いも起きて、子どもから大人まで釘付けです。第4試合に出場した世羅さんは、長年、女子プロレス界を牽引してきた、この人とタッグを組みます。

リングアナウンサー
「不可能を可能にする女、ジャガー横田!」

そして…。

リングアナウンサー
「世羅町出身、世羅りさ!」

試合は、3対3の6人タッグ。開始直後、いきなり場外乱闘で、責められ続けます。序盤から劣勢が続く世羅さんに、子どもたちから熱い声援が届けられます。

会場の応援を背に、徐々に巻き返し、最上段のロープから、伝家の宝刀「ダイビングダブルニードロップ」。3カウントを奪い、地元大会で有終の美を飾りました。

ジャガー横田さん
「世羅町出身の世羅りさ、成長したでしょ。物静かで、プロレスやるように見えないが、皆さんが温かく見守ってくれたから。これからもっとのびていくので、『世羅りさ』を応援してください」

試合後、世羅さんのサインを求めるファンの長い行列が、1時間近く続きました。

世羅町出身
「涙が出そう。嬉しい。日本や世界を代表する選手になってほしい」

三原市から
「(世羅町に)人が戻るキッカケになるし、活性化にもなる」

国内だけでなく、海外でも試合をこなす世羅さん。ふるさとの名を背負い、闘い続けます。

世羅りささん
「まだまだプロレスラーとして生きていきたい。また世羅町に帰ってくるので、お会いできるまで、このポーズを覚えておいてください。レッツプロミネンス!」

世羅さんは5日、試合のため、イギリス・ロンドンに飛び立ちました。海外でも、「広島」や「世羅町」の名をリングコールで呼んでもらうなど、PRしているそうです。今後も、プロレスを地元に誘致して、観光や飲食業界を盛り上げたいと話していました。

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