通勤時ぎゅうぎゅう、ポートライナー三宮駅ホームを25m拡張へ 混雑緩和、懸案の「8両化」はめど立たず

東側へ25メートル分のホームの拡張が計画されているポートライナー三宮駅=1日、神戸市中央区

 神戸市は2024年度、ポートライナー三宮駅ホームを拡張する工事に着手する。課題だった通勤ラッシュ時のホームでの混雑を緩和する目的で、27年度の利用開始を予定する。一方、ホームは広がるものの、神戸空港へのアクセス強化を目的とした編成車両の「8両化」は、実現のめどが立っていないという。

 同駅ホームは平日朝の通勤や通学の時間帯に、ポートアイランドの企業や大学に向かう人たちで長蛇の列が発生。このため、拡張工事は、ホームを東側へ25メートル広げて乗車待ちのスペースを確保する。

 同時にエスカレーターを新設して乗客の動線をスムーズにし、駅舎の耐震補強工事も行う予定で、市は24年度の当初予算案に3億5千万円を盛り込んだ。

 また、30年前後に控える国際定期便の就航に向け、ポートライナーは神戸空港への輸送力の強化も課題となっている。市は2018年ごろから、ホーム拡張と並行して現在6両の編成車両を8両に増やすことも検討してきた。新型コロナウイルス禍前は朝のラッシュ時の乗車率が平均120%を超え、空港利用者がさらに増えれば対応できなくなる可能性もあった。

 ところがコロナ禍以降、在宅勤務や出勤の分散化が浸透し、ラッシュ時の乗車率は平均100%にとどまっている。それ以外の時間帯の乗車率は低いため、市は8両化構想を維持しつつ、三宮やJR神戸駅前からのバス運行によって混雑の解消を図る。

 市未来都市推進課によると、ホームの拡張で8両化にも対応できるとするが、実現するには300億~400億円規模が必要という。同課の担当者は「空港国際化による需要増に加え、空港島やポートアイランドの未利用地への企業進出も踏まえ、費用対効果を検証しながら慎重に判断したい」としている。(井沢泰斗)

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