〈東日本大震災13年〉復興バラ園で元気出して 氷見あいやまガーデン

復興のバラ園の手入れをする増井さん(右)=氷見市稲積

  ●元日被災も手入れ順調、5月見頃

 氷見市稲積の西洋風庭園「氷見あいやまガーデン」が、福島県双葉町にあった「双葉ばら園」の名物庭園を再現したバラ園の手入れに励んでいる。東日本大震災の東京電力福島第1原発事故の影響で閉園してから13年目の今年、能登半島地震で氷見市は大きく被災した。運営会社の増井俊一社長(77)は花の力で地域を元気付けたいと意気込み、見頃を迎える5月を心待ちにしている。

 バラの名所として知られるあいやまガーデンには「復興のバラ園 オールドローズの谷」と名付けたエリアがある。白いつるバラをロープにはわせた双葉ばら園の名物庭園「ガーランド」を再現した。双葉ばら園のオリジナル品種「ラバーズハート」も植えてあり、5月中旬から6月に花を咲かせる。

 ばら園造成は双葉ばら園の園主と交流があったバラ愛好家の今井政代さん(東京都)と坂本千惠子さん(福井市)の提案だった。2人の手伝いを受けながら2017年に着手。今井さんが22年に死去した後も、増井さんは遺志を受け継いで手入れを続ける。

 あいやまガーデンは1月1日の発災時は休みだったが、高台にあるため、多くの市民が避難した。家に帰れない人のためにレストランを開放し、約10人が薪ストーブで暖をとり一夜を過ごした。

 地震で園内にある大理石の塀が一部損傷したものの、断水が解消した1月10日ごろレストランの営業を再開した。

 双葉町で全町の避難指示が解除されたのは東日本大震災から11年たってからだった。能登半島地震と状況は異なるものの、増井さんは氷見市の復興も時間がかかると心配する。

 増井さんは今井さんが生前「震災に負けず、生き生きと育つラバーズハートの力強さに胸を打たれる」と話していたのを思い出し、被災地の縁を感じる。

 増井さんは「花には心を癒やし、人を元気にする力がある。復興のバラ園を立派なものにして多くの人を迎えたい」と話した。

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