TOYOTA GAZOO Racing 2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 レースレポート

2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦鈴鹿

開幕戦で山下健太が2位表彰台獲得

 2024年シーズンのスーパーフォーミュラの開幕戦が鈴鹿サーキットで行われ、山下健太(KONDO RACING)が2位表彰台を獲得。移籍初レースとなった福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が6位、初ポールポジションを獲得した阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が7位でポイント獲得を果たしました。

 2024年シーズン全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1戦が3月9日(土)10日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催されました。日本のトップフォーミュラであるスーパーフォーミュラは、今季も全7大会9戦で戦われ、開幕戦は例年よりも1カ月近く早い3月上旬の開催となりました。車両は昨年と同じSF23を使用。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は今季も6チーム11台にエンジンを供給します。

 今季のTGR勢は、昨年シリーズチャンピオンを獲得した宮田莉朋が海外へと舞台を移したこともあり、多くのチームでドライバーが入れ替わりました。ITOCHU ENEX TEAM IMPULは、新たに昨年のFIA F2チャンピオンであるテオ・プルシェールが加入するとともに、チームメイトには2016年のスーパーフォーミュラチャンピオンである国本雄資が移籍。国本が昨年まで所属していたKids com Team KCMGは、小林可夢偉のチームメイトに移籍してきた福住が加わります。

 宮田が所属していたVANTELIN TEAM TOM’Sには坪井翔が移籍し、笹原右京とのコンビに。VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGは阪口と、こちらも移籍してきた大湯都史樹が組むことになり、新たな顔ぶれも加わったドライバーラインナップで開幕戦から熱い戦いが期待されます。

 今大会は二輪スーパーバイクとの併催ということもあり、鈴鹿のイベント広場「GPスクエア」にはGR010 HYBRID、GR YARIS Rally1 HYBRID等のレーシングカーに加え、各社のレーシングバイクなども数多く展示。また、昨年より行われ好評な子供達によるモータースポーツ関連の職業体験「Out of KidZania in SUPER FORMULA」など、家族連れで楽しめるコンテンツも多く用意され、今年も開幕戦から多くのモータースポーツファンの皆様が鈴鹿サーキットに集結し、待ちに待った国内トップレースの開幕を満喫しました。

■予選

 9日(土)、午前中のフリー走行に続き、午後3時5分よりノックアウト方式の予選が行われました。Q1は2グループに分け、それぞれ上位6台がQ2へと進出します。今年もQ1から1000分の1秒を争う僅差のバトルが繰り広げられました。

 昼頃の小雪交じりの雨が降る不安定な天候も次第に回復。予選は好天に恵まれましたが、気温は8度、路面温度も18度と寒いなか、各車タイヤのウォームアップに充分に時間をかけてのアタックとなりました。

Q1のA組では、全体にホンダ勢が好タイムをマークし、TGR勢は苦戦。そんななか唯一6番手でQ2進出を決めたのは1分36秒745をマークした山下。小林は0.095秒及ばず惜しくも7番手でQ2進出を逃すことに。

 FIA F2チャンピオンの国内挑戦で注目を集めるプルシェールも山下に0.103秒及ばず8番手。移籍初レースとなる大湯は6番手と0.173秒差の9番手、笹原が10番手で、TGR勢は4台がQ1敗退となりました。

 B組では、TGRでの初アタックとなった福住が1分36秒518と好走を見せると、阪口が1分36秒404、坪井も1分36秒472と36秒台前半のタイムを叩き出し、阪口3番手、坪井4番手、福住5番手でQ2へと進出。小高一斗(KONDO RACING)は惜しくも7番手。大嶋 和也(docomo business ROOKIE)が8番手、国本が9番手でQ1敗退となりました。

 Q2では、各車が走行を重ねることで路面コンディションが向上していくなか、セッティング変更が効を奏した阪口が1分35秒789という最速タイムをマーク。スーパーフォーミュラにフル参戦して4年目となる阪口にとって自身初のポールポジションを獲得しました。

 山下が6番手、福住が7番手、坪井は10番手グリッドから10日(日)の決勝レースをスタートすることとなりました。

ポールポジションを獲得した阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) 2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿

■決勝

 10日(日)も好天に恵まれましたが、気温12度、路面温度22度の寒いコンディション。多くのモータースポーツファンの皆様がグランドスタンドを埋め尽くすなか、併催レースの影響で予定よりも20分遅れの午後2時45分より、31周(180km)で行われる決勝レースがスタートしました。

 ポールポジションの阪口はまずまずのスタートダッシュを見せたものの、ライバル勢が好ダッシュで先行。阪口は3番手で1周目を終了。後方では6番手スタートの山下が5番手へ、17番手スタートの国本が11番手へと6ポジションのジャンプアップを果たしました。

 しかし、国本は小高との11番手争いで、サイド・バイ・サイドのまま進入した2周目のS字コーナーで接触。ともにコースオフを喫し、レースを終えることとなってしまいました。このアクシデントによりセーフティカーが導入され、レースは6周目に再開されました。

 義務づけられているタイヤ交換のピット作業が可能となる10周目を終えると、まず後方笹原ら数台がピットへ。翌周、5番手を走行中の山下、7番手走行中の福住が早めにピットに入る作戦へ。

 ピットアウト後、交換したばかりのタイヤが暖まるまでに、福住は先にピットインした数台にかわされてしまいましたが、山下はこれを凌ぎ切り、ピットを終えた組の中でトップに立ちました。

 13周目を終えたところで、首位を走行していた野尻智紀(ホンダ)がピットへ向かい、山下の前でピットアウト。山下は懸命にこれを追いましたが、抜くまでには到らず。しかし、山下は早めのピット作戦が奏功し、その後ピットに向かった車両もかわし、ピットを終えた組では野尻に続く2番手で周回を重ねていくこととなりました。

 一方、注目のプルシェールはピットアウト直後のラップでコースオフを喫し、フロントウイングを破損。交換のために再度のピットインを余儀なくされ、大きく順位を落とすこととなってしまいました。

 上位争い以外でも、各所で熱いバトルが展開。山下同様に早めのピット作戦を採った福住はトップ5をかけてのバトルを繰り広げました。

 レースが折り返しを過ぎ、18周目には小林、19周目には阪口、21周目に大嶋、大湯がピットイン。小林と大嶋は息詰まるバトルを見せてくれましたが、その直後、小林の車両がスローダウン。ピット作業でのタイヤ締結トラブルで小林はピットへ向かい、バトルからは脱落してしまいました。

 2番手を行く山下は、後続からの追い上げを受けるも好ペースで逃げ切り、2位でチェッカー。昨年の第2戦富士以来となる表彰台獲得を果たしました。

 福住は6位でチェッカーを受け、TGR移籍後の初レースで見事入賞。初のポールポジションからスタートを切った阪口は悔しいポジションダウンも7位でポイント獲得を果たしました。坪井は惜しくもポイントには届かず11位。大嶋が13位。笹原が15位、大湯は16位。プルシェールは18位、小林は19位でレースを終えることとなりました。

2位表彰台を獲得した山下健太(KONDO RACING/左) 2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿

■コメント

KONDO RACING 3号車 ドライバー 山下健太

「表彰台は去年の開幕戦ぶりです。この時期の開幕戦はなかなか珍しいのですが、去年12月と先月までの2回のテストが同じような気候で、前回のテストがまあまあ調子良かったのでその流れで来られたという感じです」

「本当は予選でもう少し上に行きたかったのですが、決勝でここまで巻き返せたので良かったです。スーパーフォーミュラは練習が良くても予選で急にダメになるとかというのが多いので、とりあえず2位をとれたことには満足しています」

「次は2カ月後で、暖かくなってくるとまたいろいろ変わってくるはずで、自分はこのままではこの位置をキープできるとは思っていないので、しっかりチームと一緒に頑張っていきたいと思います」

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